本年度のプロ野球。
クライマックスシリーズが終了し、日本シリーズは互いにリーグ戦1位だった広島東洋カープと北海道日本ハムファイターズが、日本一を競い対戦することになりました。
この2チームに共通する点をご存知でしょうか。
実は両チームとも、スタメン選手は生え抜き選手であるということです。※外国人選手を省く
高校、大学、社会人のノンプロ選手を採用し、プロになるべく育成し、幾度となく失敗に目を瞑りながら育てていった結果、優勝を争うチームになれたのです。
二刀流でお馴染みの日本ハムファイターズ大谷選手。クライマックスシリーズで驚愕の打率8割を叩き出した広島東洋カープ田中選手。これらの選手も、将来的には他球団、メジャーリーグに行ってしまう可能性があります。
手塩にかけて育てた選手が他球団に行ってしまうのは、致し方ないことかもしれません。しかし、球団や首脳陣、同僚選手と皆が心痛めることでしょう。
企業においても、期待して採用し、手塩にかけて育てた社員が退職を申し出てきた時、心を痛めた経験がある方は多いと思います。
そんな社員に対し、なぜ辞めるのか、どうして他社を選んだのか、など問い詰めたくなる気持ちが湧き出てしまう。それも期待していた社員ほどそうなります。しかし、それは無駄な行為なのです。
なぜならば、退職の際に本当の理由を言う社員は少なく、
更に言うと、理由は一つではなく、複合であるからです。
辞めると決めた社員の決心は強く、何を言っても変わらないもの。ましてや次の会社を決めてから退職を申し出る社員なら尚更です。
そんな時、会社や上司はどのように対応したら良いのか?
それは快く送り出し、次の成功を応援してあげることです。
これは逆転の発想になりますが、辞めた社員が戻ってきたい。そう思ってもらえるような会社になることの方が、私は大事なのではないかと思っています。
私はかつて、一度辞めた社員を戻したことがあります。
その際に以下のような基準を設けていました。
・過去の実績が良かったか
・辞め方がきれいだったか(自分勝手な退職をしていないか)
・新しい組織でのポジションはあるか
・信頼できる人物か
上記の基準をクリアしていた元社員は積極的にアプローチをしていました。
再入社した社員は、一度他社を見ているためか、自社の良さを心から理解することができているので、即戦力として大活躍しています。
今年の広島東洋カープが優勝できたのは、生え抜き選手が成長したからだというのは、紛れもない事実ではありますが、その若手を引っ張ってきた、メジャーリーグ帰りの黒田投手であり、阪神タイガースから出戻った新井選手の活躍があってこそ。
広島東洋カープが黒田投手、新井選手にとって、ちゃんと戻りたい球団であれた。それは退団当時、快く他球団に送り出されたからではないでしょうか。
少子化、求人倍率の向上により、新しい人材を採用するのがますます困難になることが予想されています。
そんな時代だからこそ、辞めた社員が戻ってきたい会社とはどんな会社か、ということを考えてみることをオススメします。
2016.10.26 KSN 128
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