「交通費を出せばもっと学生が来るかな?」
2~3年ほど前から学生さんへの交通費支給について
相談を受けることが多くなりました。
求人意欲が高まりをみせる中、新卒採用においては3年前と比べ、
約3倍にあたる20,000社が求人媒体に掲載されています。
また、約4か月で就職先を決めなければならない短期化した
採用スケジュールも母集団形成に苦労する要因になっています。
ここ3年の就活生に対する交通費支給状況を調べてみると、
説明会への交通費を支給している企業は、2.2%→4.1%→4.4%と、
着実に上昇しています。
逆に、最終選考に交通費を全額支給する企業は、
34.4%→33.8%→31.4%と下降しており、
母集団形成のために予算を分配するという傾向が強まっています。
一方、就活生はこの就職環境をどう捉えているのでしょうか?
今年同様、3月の広報解禁、6月の選考開始というスケジュールで
進められる2018年度採用において就活生が感じる不安や不満は
以下の2つに集約されます。
1.説明会・面接の期間が集中する
2.業界や企業を勉強する時間がない
今年の採用スケジュールを踏まえて特に意識したいのは、
「業界や企業を勉強する時間がない」という部分です。
なぜなら、交通費、という本質的ではないきっかけで人を集めても、
「良い学生」の採用につながらない可能性が高いからです。
人間は、自分に興味を持ってくれる人に好意を抱きやすい生き物。
それは採用活動においても同様です。
仮に、同等のポテンシャルを持つふたりの学生がいた場合、
より自社に興味を持っている学生を
「良い学生」と評価するのではないでしょうか?
つまり、自社に興味を持つ時間さえ与えられていない学生を集めて
ポテンシャルを見極めても、「良い学生」に見えず、
結局は選考途中で辞退したり、入社意欲が感じられずに
内定を出せないという状況に陥る可能性があります。
ある企業様では、1次選考と2次選考で不合格を出さず、
面接ごとの評価や適性テストの結果をフィードバックし、
学生との接触時間を確保しながらより深いコミュニケーションを
とることに注力されています。
もちろん、一人でも多くの学生と出会うことも必要ですが、
出会った学生に興味を抱かせ、また話を聞いてみたいという
プロセスや環境を用意し、「良い学生」に育てていく
という手法や時間を確保してこそ、です。
先般の東京都知事選挙やリオオリンピックで取り上げられていた
「都民ファースト」、「選手ファースト」というキーワード。
選挙やオリンピックを政治利用することなく、
主役である都民や選手を第一優先で考えましょう、
という意味で発信された言葉です。
ここ数年繰り返されているスケジュール変更は、はたして
主役であるはずの学生さんのためになっているのでしょうか?
引き続き過熱を帯びることが予想される2018年度の新卒採用では、
学生に迎合するという意味ではなく、学生さんの立場にたった
採用活動である「学生ファースト」を念頭に採用活動を行い、
選考過程で育てるという意識で取り組んでみてはいかがでしょうか?
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