「うちはブラック企業なのか?」
一度は考えてみたことのある方が多いと思います。
ブラック企業という言葉が生まれて約10年。
IT系の従業員がネット上で使っていた言葉が一般化し、
2013年には流行語にも選ばれました。
厚生労働省では、悪質な企業の抜け道を作らないように
あえてブラック企業の定義を定めていませんが、
一般的には、異常な長時間労働、パワーハラスメントの横行、
若者を大量に採用して使い潰して利益を上げている企業、
といったイメージでしょう。
就職活動生に、ブラック企業かどうかを
どのように判断しているのか聞いてみたところ、
インターネット上にある「ブラック企業の見分け方(指標)」を
参考にしている学生が多いようです。
例えば、このような指標です。
・離職率が高い
・精神論ばかり
・若手のうちに管理職になれる
・やりがいばかり謳っている
・退職者が悪口を書いている
など。
これらを見て感じることは
一理あるが、この指標を全て満たした企業が
誰にとってもブラック企業なのかといえば、
まったくそうではない、ということです。
たとえば、ブラック企業の指標として最も多く言われる
新卒入社社員の3年間の離職率で言えば、
退職の理由は長時間労働などの労務管理に限りません。
たまたま家庭の事情での退職が重なった、
社員を大事にする気持ちはあるが、育成スキルが足りない、
そもそも採用時のミスマッチなど、
別の問題点、課題点が要因であることも多いはずです。
「若手のうちに管理職になれる」という指標もあります。
確かに仕事よりもプライベートを大事にしたい人にとっては
望ましい環境ではないかもしれませんが、
若いうちは何よりも自身の成長を大事にしたい人にとって、
多少の無理をしながらでも努力すれば管理職になれる、
若手に成長のチャンスが与えられる環境は、
大きなプラスの意味を持つ環境と言えます。
同じ状況に対する判断が人によって分かれるのであれば、
ブラック企業か否かは、一般的な指標では判断できない。
誰かにとってのブラック企業が、
自分にとってのブラック企業だとは限らないということです。
では、ブラック企業か否かは誰が決めるのか。
それは既存社員です。
つまり、会社の価値観と、
求職者(既存社員)の価値観のギャップが、
ブラック企業の正体なのではないでしょうか。
だからこそ、企業が注力するべきは採用活動です。
自社の職場環境を嘘偽りなく伝え、
この環境でこそ働きたいと言ってくれる応募者を採用する。
採用時にミスマッチを減らすことで
入社後に自社をブラック企業だと感じる社員が減り、
離職率は低くなる。
結果、ブラック企業の指標からも外れていくでしょう。
採用のミスマッチは、採用活動でしか減らせません。
面接では、何ができるのか、どんなスキルを持っているか
という資質だけでなく、
応募者が将来どうなりたいのか、働くことに何を求めているか
という志向を、
しっかりと把握することを意識してみてください。
価値観のギャップを生まない採用活動が、
入社後の活躍と定着という真の採用成功への道筋となるはずです。
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