1月も半ばとなり、
2017卒採用のスタートを身近に感じる時期となりました。
報道にもある通り、リーマンショック後上昇を続けた求人倍率は、
2017年度採用でバブル期に並ぶと言われています。
バブル時代を知る人には「媒体に出しても学生が一人も来ない」
などの苦い経験を思い出す方もいるのではないでしょうか。
株式投資の世界に『人の行く道の裏に道あり、花の山』という
格言があります。
株式市場で利益を得るためには、
他人とは逆の行動をとらなくてはならないという意味です。
求人を同じ意味で考えると、
10年単位で見ればその間に求人倍率は必ず増減するのですから、
わざわざ売り手市場に参戦しなくても、
他社が採らない買い手市場の時にだけ採用すればよい。
となるところですが、実際はなかなかそううまくはいきません。
需給バランスは景況と連動しているため、
採用したい時も、手控えたい時も、
他社と同じタイミングでやってくるからです。
好景況時の採用活動で、
「人の行く道の裏」に、はたして道はあるのでしょうか。
私は、自社独自の新しい採用ルートに
その答えがあると考えています。
現在の日本の新卒一括採用で、最も景況感に左右されるのは、
大手ナビ媒体、つまり他社と同じデータベースを使用し、
応募者を獲得する部分です。
買い手市場時であれば、大手ナビ媒体への広告掲出だけでも
十分採用は可能ですが、
売り手市場時にはデータベースの奪い合いになり、
ナビ媒体への掲載だけでは採用目標の達成は難しくなります。
単体利用での採用が難しいとはいえ、
ナビ媒体の必要性がすぐに無くなることはないでしょう。
ただし、採用目標達成のためには、並行して
自社がナビ媒体以外で出会う就職活動生のデータベースを
蓄積していく必要があるのです。
大きな意味では、大規模な合同説明会や、
インターンシップ活動で出会う学生もその対象。
体育会系に特化したルートや、OBOG接触などもそうでしょう。
しかしながら、既にこのようなルートでの争奪戦も
激しくなってきている状況です。
ポイントは、まだ広くは認知されていない位置付けのルート、
そのデータベースに対して、
インキュベーターとして取り組むことができるかどうかです。
例えば、新設の学生団体に協賛して合同イベントを企画し、
そこから採用をおこなっている企業があります。
ナビでは会えない学生との出会いを作っている例です。
また、弊社の離島インターンシップ企画「島キャン」でも、
協賛企業の中には、報告発表会で接触した学生に
自社の採用活動情報を案内している企業もあります。
その地域貢献、社会貢献への協賛姿勢だけでなく、
島キャンという自分の活動を応援してくれる企業であることが、
就職先企業として検討する理由となっています。
新卒採用活動における「人の行く道の裏の道」とは、
「人の行く道の先の道」と同義なのです。
来る空前の売り手市場に向けて取るべき戦略とは、
まだ誰も踏み込んでいない道(データベース)を
率先して切り拓くことに他なりません。
このような活動の積み重ねが日本の就職シーンを変えていく。
そして、この一括採用体制が崩壊した時、
自社が生き残る手段となり得るのです。
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