人の能力を採用面接で100%見抜くことは困難です。
仕事の成果を聞くことのできる中途採用であれば
ある程度知ることもできますが、
これから社会に飛び立とうとする新卒採用では尚更。
それでも、自社で活躍する人材をいかに選抜できるか。
面接官としての力量は、この1点に集約されます。
そもそも1度の面接で、全ての能力を見ることはできません。
見抜けるのはせいぜい1つ。多くて2つでしょう。
特に見たい能力、ポイントを絞った上で、
応募者の行動特性や思考特性を確認し、
将来自社で活躍できる人材なのか否かを見極める。
それが面接です。
私も自社の採用活動で面接官を務めており、
最終選考の2つ手前のステップを担当しています。
そこで特に見たいと意識しているのは、
・自社理解(事業、ビジョン)
・判断軸
この2つです。
1つめは、弊社をどのように理解しているのか。
本人が何をしたくて、弊社で何を実現しようとしているのか。
そして難しいのは2つめの判断軸で、
私はその応募者の判断軸を理解するために、
直近で上げた成果ではなく、
そこまでの歴史を聞くことで紐解いています。
成果とは、様々な要素が絡み合って出るもので、
たとえ偶然の産物であっても、成果は成果。
面接の場となれば、多少の誇張もあるかもしれません。
さらに、その成果に本人がどの程度関与したかも、
初めて聞く話ではわかりにくいことがほとんどです。
一方、成果に至るまでのプロセスや思考、その特性は、
本人の考えや基準そのものであり、
その集合体が判断軸であると言えます。
私が判断軸を大切にする理由は、再現性です。
仕事ができる人の成果を出すプロセスには再現性がある。
それは、成果を出すための行動や思考が、
その人の中に定着しているからに他なりません。
10,000時間の法則をご存知でしょうか。
人間がある分野で一流になるには、
基礎的な訓練を10,000時間繰り返す必要がある、
という法則です。
これから何かの一流になろうとしている新卒者の
判断軸を知ることで、そのベースがどの程度あるか、
誤摩化せない実力を知ることができるのです。
応募者がこれまでどんな環境に身を置き、
どんな基準で物事を選択してきたのか。
小学校時代まで遡って判断の歴史を確認することで、
その判断軸は浮き彫りになります。
面接では、判断軸を紐解く。そのために歴史を聞く。
きっと面接の精度が高まり、
今まで見えなかったものが見えてくるはずです。
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