秋も深まり、2017年卒の採用活動体制について、
頭を悩ませはじめた方も多いのではないでしょうか。
学生の企業選びの材料のうち、
社員との接点はとても大きな比重を占めます。
特に知名度の無い中小企業にとっては、
それがすべてと言っても過言ではありません。
だからこそ、どの企業でも
リクルーターにはエース級の社員を選出しているはずです。
ここで気をつけなくてはならないのは、
採用活動中に学生が見ている社員とは、
説明会や面接で話すリクルーターだけではないということです。
学生は企業を訪れた時、
その来社目的とは関係の無い社員のことをよく見ています。
入口や受付で会った社員、廊下ですれ違った社員の顔つき、言動。
企業が学生の素の姿を見ようと工夫するのと同様に、
学生も企業が用意した場面と準備した社員ではなく、
普通の社員、普段の姿を見ようとしているのです。
つまり重要になってくるのは、
社員全員がリクルーターであるという意識。
もし全社員がそう意識できれば、
採用競争の中で大きな差別化を図ることができます。
私の担当するお客様で、
採用活動中に施設見学会を実施している企業があります。
見学会を実施する日は施設入口に手作りボードを設置し、
その日に訪れる学生の氏名と歓迎メッセージを掲示しています。
来社する学生情報はすべての社員に事前共有され、
施設内ですれ違う社員は学生に挨拶し、声掛けもおこないます。
この企業の内定承諾率は同業他社よりも高く、
さらに、採用した社員の退職率もとても低い。
全社員が採用の当事者であるという意識付けとその施策が、
採用成功のみならず、
結果、組織強化にまでつながっている好例です。
たとえ有名なテーマパークや最高級ホテルであっても、
メインキャスト以外のキャストの立ち振る舞いが
もしゲストを残念がらせるものであったら、
そこがゲストにとって唯一の場所となり、
ファンになってはもらうのは難しいでしょう。
社員依存度の高い中小企業ならばなおさら、
指名選出されたリクルーター担当社員だけでなく、
全社員が採用活動の重要性を理解していること。
自分も一人のリクルーターであるという意識を持ち、
誰も見ていない場所でも適切な振る舞いができるかどうかが、
学生からその人生で1社目の企業に選ばれるための
カギになると言えます。
もちろん、ただ社員に意識を持てと言うだけでは浸透しません。
採用活動スタート時にどのような情報共有の場を作れるか。
入社案内など学生へのメッセージツールを、
どのような形で社員の手元に届けられるか。
採用活動中のリアルタイム情報がどう共有されるか。
どれかひとつではなく、その積み重ねが、
社員の意識を定着させていくはずです。
リクルーターをどう選ぶのかは、
採用成功可否を決めるとても重要なポイントです。
選出したリクルーターにとっての貴重な成長の場でもあり、
その人選は、時間をかけるに値する準備です。
同時に、リクルーターに選ばれなかった社員たちが、
自分にも役割と責任があるのだという意識を持ち、
自分事として捉えられるかどうかも、同じくらい大切です。
単年度の採用成功はもちろん、
長期的な組織強化につながる活動にできるかどうかは、
一人一人の社員の採用に対する意識にかかっています。
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