鳴り物入りで採用した人材が、期待したほど活躍せず、
徐々に存在感も薄まり、残念ながら定着することなく退職した。
これは中途採用を実施する企業の多くで見受けられるケースで、
たくさんの時間と費用をかけた採用活動も、
入社後、活躍せずに終われば、そのコストは水泡に帰します。
中途採用の人材を戦力化している組織では、
その人材が組織風土にも業績にも、好影響をもたらします。
一方、戦力化していない組織では中途入社と退職が繰り返され、
風土も変わることなく、停滞してしまう。
異文化の経験があるからこそ、その活躍度合いにより、
組織全体がプラスにもマイナスにも、大きく振れる。
それが中途採用です。
プロ野球の東北楽天ゴールデンイーグルスの野村克也元監督は、
「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし。」
とおっしゃっています。
採用も同じで、なぜこの社員が活躍したのか、
そもそもなぜ採用できたのか。
振り返ってみてもよくわからない場合があります。
ですが、中途採用のどこかの段階で失敗する場合、
まさに不思議の負けなし。
失敗すべくして失敗しているケースが大半なのです。
中途採用に失敗する企業の特徴、それは他責です。
過去の実績は立派だったが、うちの会社ではダメだった。
前職との比較ばかりで会社の理解が乏しいね。
過去の経験ばかり振りかざし、周囲に悪影響をもたらしている。
このような、採用した人材側に原因を求める言葉が出る企業は、
何度中途採用を繰り返しても、失敗する確率が高い。
稀に出合い頭で成功することもあるでしょうが、
それは不思議の勝ち。ほとんど見受けられません。
中途採用者を戦力化するために必要なこと。
そのポイントは3つです。
1.採用する人材像を明確にした上で採用すること。
2.組織の価値観を共有し、強い共感者とすること。
3.能力を発揮しやすい役割、風土を提供すること。
ごくごく当たり前のことだと感じるでしょうが、
答えはシンプルなのです。
まだ大活躍しているとまでは言えないかもしれませんが、
サッカーでイングランドプレミアリーグのチーム、
レスターに移籍した岡崎選手。
彼の獲得にチームは2年間を要したそうです。
レスターは決して強豪と呼ばれるチームではありません。
特長は、選手全員によるガムシャラなプレスディフェンスと
圧倒的なハードワークです。
そのチームカラーの中で、決して多くないチャンスを
モノにできる決定力と、ハードワークや献身性。
それがレスターが求める人材像で、それに合致した岡崎選手。
獲得決定後も、チームコンセプトや戦術の理解促進と、
チームメンバーとのコミュニケーション促進を
積極的におこなったそうです。
獲得選手の活躍が如実にチームの成績へと影響する
サッカーだからこその対応と捉えることもできますが、
企業経営でも同じことです。
採用した人材が活躍しないと嘆くばかりでは何も変わりません。
採用と育成の考え方を変えることが成功への近道なのだと、
プロスポーツの世界で証明されているのです。
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