今月17日で阪神淡路大震災から20年が経ち、
当時誕生した子どもたちが今年成人式を迎えた。
そのニュースを見て、この20年間を振り返ると同時に、
今の若者について考える機会となった。
採用活動をはじめ、ミートボウルや島キャンなどのイベントでも
私は多くの学生と会っているが、
近ごろ彼らの興味や思考を理解できないと思うことが増えてきた。
当然年齢が離れているせいもあるが、それだけではない。
今の学生には、明らかにこれまでとは違う世代共通の特徴がある。
2016年卒の多くは1994年生まれ、いわゆるデジタルネイティブだ。
阪神淡路大震災の発生当時、Windows95発売の頃に誕生し、
物心がつく3歳、4歳の頃にはWindows98が発売されている。
一般家庭へのインターネット普及の時期が記憶のはじまりである。
16卒生が小学校に入学する2001年にブロードバンドが普及し、
日本は一気にネット社会へと転換していった。
中学校入学の2007年には全世界でiPhoneが発売されている。
日本の携帯電話人口普及率が8割を超えた頃だ。
今や重要なビジネスツールでもあるSNSのうち、
facebookとTwitterの日本語版がスタートしたのは2008年。
日本で2位のTwitterフォロワー数を誇るきゃりーぱみゅぱみゅも
今の大学生と同世代で、
中学生の頃からケータイを持っていた世代だ。
iPadの登場は彼らの高校時代。大学入学時にはLINEが始動した。
新しいデジタル機器やアプリを使いこなし、
最新のSNSやコミュニケーション手段を生活に取り入れるのは、
彼らにとって、ごく普通の日常生活の一部だ。
あらゆる新ツールの誕生、進化、変化に即時適応するのが基本で、
未知への不安や戸惑いなど無い。
既存のツールや既知の操作性を利便性と捉える我々世代とは、
圧倒的にレベルの違うICTリテラシーの高さだ。
(ICT:Infomation and Communication Technology)
そして、このICTリテラシーと変化適応力は、
現代社会における必須のビジネススキルでもある。
新しいテクノロジーについていくのに必死な管理職よりも、
入社時点ですでに彼らの方が高いICTスキルを有しているのだ。
さらに、この変化適応力や応用力はICT分野にとどまらず、
基本的思考の柔軟性にもつながっている。
また、社会貢献意欲、他者貢献意欲の強さも、
デジタルネイティブ世代の大きな特徴のひとつだ。
このソーシャル志向は、
モノも情報も豊富な時代に生まれ育ったという環境要因に加え、
4年前、彼らの高校時代という多感な時期に発生した
東日本大震災が、大きく影響している。
震災をきっかけに自身の社会貢献欲に気づいたり、
秘めていた地域貢献欲を実際の活動につなげた若者は少なくない。
被災者への貢献意欲、復興への思いはもちろん、
みなぎる体力の有意義な使い道としてボランティアに勤しむ姿は、
日本の未来の明るさを感じさせてくれるし、実に頼もしい。
そもそもデジタルネイティブ世代は、
自分の出世や見返りよりも、社会や所属組織への貢献を重視する。
また、肩書や規模といった旧時代的なステータスよりも、
役立つスキルの習得や能力アップに意欲を燃やす傾向がある。
つまり、所属コミュニティや社会の役に立つ存在になることが、
彼らの目指す姿なのだ。
もちろんベクトルを自分に向けた欲求がないわけではないが、
社会貢献欲や帰属欲求がモチベーションの源泉となること自体、
十分これまでの世代とは異なる特徴なのではないだろうか。
社会性は、現代社会における優秀な人材要件のひとつだ。
デジタルネイティブが無意識に習得しているマーケティング力も
あらゆるビジネスで重要な能力であり、
ここに行動力や業務推進力が伴えば、立派な戦力となるだろう。
2016卒採用を皮切りに、デジタルネイティブの就職がはじまる。
売り手市場ではあるが、
戦力化の可能性が高い人材を積極的に採用しない手はない。
企業も、デジタルネイティブ世代の思考に習い、
柔軟な変化対応力を身につけ、新しい採用手法に挑戦することで、
選ばれる企業へと進化できるのではないだろうか。
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