7月のインターンシップイベントからスタートした
弊社の2016年度新卒採用活動が、いよいよ本格的に始動する。
政府要請と経団連指針による実質的な就職協定により、
接触の開始となる会社説明会は3月以降の開催となった。
それまで、マイナビやリクナビなどの大手就職サイトでは、
説明会の日程告知をおこなえない。
しかし、実際には大手就職サイト主催のインターンイベントが
ほぼイコール合同説明会であり、
企業と学生との直接接触は例年通りの夏にスタート済みだ。
ただ、選考開始が8月とされている以上、内定通知は先送られる。
この後ろ倒し指針は、
年間採用スケジュールの長期化と、
面接選考スケジュールの極端な短縮化、過密化を同時に生み、
企業、学生双方に負担を強いることになると、私は懸念している。
振り返れば、1990年代後半まで、企業の採用情報提供方法は、
就職情報誌や郵送DMなどの紙メディアだった。
かつて学生が企業宛に一枚一枚書いていた資料請求のハガキは、
1クリックで複数の企業へエントリーできるネットへと変わった。
企業からも、1名1通分の郵送費が必要だったDMが、
WEBで安価に大人数へ一斉DMでアプローチできるようになった。
この情報提供方法の変化により、
ノウハウさえあれば、比較的低料金での大量広報が可能になり、
知名度のない中小企業でも優秀な学生と出会えるようになった。
一方、学生は大手就職サイトの機能を活用し、
事前に登録した個人情報や自己PR文のセットを使って、
そのまま何社にでもエントリーすることができる。
さらに、システムが自動的に推薦するリコメンド機能によって、
社名をクリックするだけで、新たにエントリーできてしまう。
こうして利便性が高まった反面、
愛着も熱意もない機械的な応募を乱発できてしまう仕組みが、
学生にとって、本当に面白い会社探しが出来ないというリスクを
引き起こしていると言えるだろう。
そんな中、インターネット就職情報サイトによる募集活動を止め、
直接的な接触のみで採用を進める大手製薬会社があるらしい。
有名人気大手企業だから取り組めることだとも言えるが、
これは社会への問題提起の一つなのだと思う。
今年、弊社では会社説明会参加後の一次選考を、
学生自身が撮った自己紹介動画による応募に一本化した。
応募数が減る可能性はあるが、
エントリーシートや履歴書などの平面情報ではわからない個性を
学生の自己PRポイントにフォーカスしたムービーを用いて引出し、
それを視聴することで判断、選考しようという試みだ。
また、物理的な距離や時間の制約により、
弊社が開催する説明会に参加できない学生に対しては、
会社説明会代わりになる内容を15分の映像にして、提供している。
長年、採用活動をおこない、数えきれない説明会を開催する中で、
その存在意義、伝わること、伝えるべきことを考え続けてきた。
例えば、社内での日常や顧客接触の現場こそが仕事内容であり、
実際にその風景を見せることができれば、
会社の魅力、仕事の面白さが伝わるのではないか。
しかし、その日常を説明会会場に持ち込むことはできない。
というジレンマは無くならない。
加えて、会社説明会の無駄なところ、例えば、
借りた会場を満員状態にするために費やす広報費、会場費、
経営陣含め、主要な社員の時間的な拘束などは、
必要コストとはいえ、できるだけ効率化、省力化したい
という思いがある。
今回、弊社が新設したWEBサイト「就キャス」は、
優秀な地方学生や留学中の学生、
時間の融通が利かない専攻の学生や外国人と出会う機会のために
会社説明会を映像化、かつ開催をオンライン化することで、
出会いの機会損失の原因を物理的に解決しようという試みだ。
今回の就職協定の変更や、
社会全体的なネット環境のレベルアップを背景にして、
WEB説明会や、動画説明会の導入割合は、必ず増加する。
また、夕方や夜などの時間帯の会社説明会も増加していくと思う。
付随して、選考の仕方も多様化していくだろう。
採用活動は、時代とともに変わっていく。
この国の新卒採用がよりよいものへと進化していくために、
弊社は、常に新しい取り組みをして行きたいと思う。
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