先日、インドネシアのジャカルタに行ってきた。
インドネシアの人口は2億4千万人。
ASEAN10か国で断トツ1位、
世界でも中国、インド、米国に次ぐ4位の人口を誇る大国だ。
当社はカンボジアを中心にASEANで事業を展開しているが、
インドネシアは言語が特殊で英語もあまり通じないとか、
距離的に遠いという理由と並び、
イスラム教の国であることで、なんとなく敬遠していた。
しかし今回初めてジャカルタを訪れ、自分の目で確かめたこと、
現地の日本人を取材したことでイメージが大きく変わり、
マーケットとしての可能性を感じた。私の所感を報告したい。
インドネシア共和国は、東南アジア南部に位置する共和制国家。
国土総面積は日本の約5倍で、東西に5,110kmと非常に長く、
1万3466もの大小の島で構成される、世界最多の島国だ。
同じ島国だが、日本は6852島、全長約3000キロ。
人口も島の数も、インドネシアは日本の約二倍である。
首都ジャカルタへは、羽田から直行便で7時間半。
人口は950万人超、近郊を含む都市圏人口は2,224万人で、
こちらも世界第4位だ。
世界屈指のメガシティであり、ASEAN本部もジャカルタにある。
ASEAN10カ国で比較して他国と最も大きく違うのは、
経済が自国主導であることだ。
外資3割、自国7割と外資依存割合が非常に低く、
内需マーケットでしっかりと一国の経済が回っている。
ジャカルタの街を見れば、その経済力を感じることができる。
私は健康のため、出張先で朝ジョギングすることにしている。
どこの国に行っても、朝の通勤の風景を見ることで、
その国の人、ビジネス、文化など、色々なものが見えてくる。
走ると、散歩よりも広範囲に街の様子を把握できるのも嬉しい。
今回のジャカルタ訪問は週末で、日曜日の朝に走ったのだが、
ホテル前の通りがカーフリーディ(歩行者天国)になっており、
走りながらその様子に驚いた。
ここ数年、タムリン通りからスディルマン通りというメイン通りの
約5キロが朝の6時から10時まで歩行者天国になっているらしい。
走っている人の多さもすごいが、
イスラム国だと思っていたのに男女とも肌を露出してるし、
ランニングウェアがみなオシャレだった。
並行して走る自転車もスポーツタイプが多く、
ヘルメットもウェアも、ファッション性が高いのだ。
他のアジア諸国と同じく、若者の割合の多さには圧倒される。
そして何より、太ってる人が多い。
年率6%の経済成長を続けるインドネシアは、
日本や欧米諸国と同じく、ダイエットと健康ブームのようだ。
ランナーが走る道端で、チョコレートやスポーツドリンクを
販促物として無料で配布していることや、
親子連れを見ると子どもの服装にお金を掛けていることからも、
明らかにアジアトップクラスの豊かな国だということがわかる。
車は親日的なお国柄のためなのか、
トヨタやホンダなど、日本車の割合が圧倒的に多い。
自動車の方が多いが、バイクも走っている。
しかし、近隣国のベトナムやカンボジアでよく見かけるような
3人乗り、4人乗りなどないし、バイク渋滞もなく、
ヘルメット着用率はほぼ100%で、交通安全面の整備を感じる。
そして、ビジネス相手となる国民について。
インドネシアは300を超える多民族国家だ。
気質は温厚で感情をあまり表に出さず、日本人に似ているらしい。
もっとも知りたかった宗教は、
まず、イスラム教を国教としているわけではないということだ。
世界最大のイスラム人口国であり、
イスラム教徒が76.5%だが、キリスト教徒も13%いる。
日に5回の礼拝もあまり厳密にはおこなわれていないようで、
ちょうど私が街を歩いていた時、礼拝の正午になったが、
その場でお祈りをはじめる人は見なかった。
イスラム教の伝来から600年という比較的浅い歴史のため、
服装や礼拝などの面はある意味ゆるいのだと聞いた。
すでに大国であり、経済的にも自立しているインドネシアは、
他のASEAN諸国とは別の視点から考える必要がありそうだ。
これからまだまだ伸びそうなインドネシアを、
もっと深く知り、マーケティングしてみたいと思う。
コラムへのご感想・ご意見など、ぜひお聞かせください。
→letter@kakehashi-skysol.co.jp