ここ半年ほど、地方活性事業の一環として、
島で働くインターンシップ企画「島キャン」の立ち上げのため、
いろいろな島を訪問している。
島のために活動する島おこしのリーダーの方々に会い、
島キャンの趣旨を説明し、インターン生の受入を検討いただく。
また、受入先となる企業や団体ををご紹介いただいている。
島キャンの「キャン=CAMPUS、CAMP、CAN」の舞台を作る。
これが島を訪れる目的だ。
地域活性事業の最初の企画としてスタートした「島キャン」は、
学生の受入先である企業や団体、農家などからはもちろん、
インターン生となる大学生からも参加費はいただかない。
当社はあくまでも両者を結びつけるカケハシの立場なので、
企業にも学生にも喜ばれてはいるが、
直接的に単体のビジネスとして収益を上げることはできない。
しかしながら当社は、人材事業に次ぐ新規事業領域として、
地方活性事業に取り組み始めている。
何故、地方活性に興味があるのか。
何故、それを仕事にするのか。
そう社内外からよく尋ねられるのだが、
「地方が好きだから」としか答えようがない。
私は島根県の出雲に生まれ、幼少期は北海道の恵庭で育った。
この自分の地方育ちが根本にあるのは間違いないだろう。
加えて、日本社会が抱える産業構造、雇用、高齢化などの社会問題
の「縮図」が、地方にある。
そして、その課題には一企業として取り組むべき価値があり、
当社の持つ広告技術、IT技術、人材ソリューションが
課題解決に活用できると感じている。これが理由だ。
プロジェクトの進行具合をざっと報告すると、
この夏の島キャンは、
奄美大島、沖永良部島、与論島、与路島などの奄美群島を中心に、
北海道の礼文島と島根県の隠岐の島町と海士町(あまちょう)にも
島キャン生を受け入れていただく。
夏休みに無報酬で働く第一弾の「2014年夏の島キャン」に、
既に1000名の学生が応募し、500名以上が参加を希望している。
インターンシップなので無報酬は当然としても、
彼らはその離島までの移動や宿泊などの旅費交通費を負担し、
このプロジェクトに参加する。受入先の中には宿泊施設や食事を
一部提供してくださるところもあるが、基本的には学生の負担だ。
それでも参加したいというのだから、地域活性意欲はすごい。
島側は最低1週間、長くて2ヶ月ほど学生に就業機会を提供する。
用意された仕事の多くは、体力を必要とする農業、漁業、
観光地ならではのホテル、飲食店などのサービス業が中心となる。
参加学生は就業体験以外でも島民と交流し、生活を学び、
島の映像を撮影し、帰京してから世話になった島のPRを考える。
学生の参加動機には幾つかあり、
就活のネタ作りという学生も一部にはいるが、
大半は「地域活性に貢献したい」という真面目な動機だ。
プロジェクト始動前はどんな学生がくるのか不安もあったが、
蓋を開けてみると、驚くほど学生の意識は高く、
実に頭の賢い、優秀な大学生ばかりが集まっている。
官僚を目指すほど強い意志ではないが、社会貢献したい欲求をもつ
「ソーシャルビジネス志向型学生」の話を以前したが、
このタイプの学生たちが続々と集まって来ているのを実感する。
このタイプの学生には、お金や、出世、独立を志向するような
「ギラギラ」したパワーは感じないが、
一方で、企業の社会的価値、社会貢献性を重視し、
興味のベクトルが自分ではなく、外に向いているところに、
未来ある人材としての魅力を感じる。
我々の「島キャン」プロジェクトはまず「島」からスタートし、
次に半島、そして次の段階では陸の孤島と言われるような
過疎の進む地域に展開していきたい。
若者が地方を知ること。地方の現実を知ると同時に、
第二の故郷、将来にわたって‘帰る’場所を作ることで、
一時的ではない地域活性につながることを願っている。
企業が自分だけにベクトルが向く学生に魅力を感じないように、
自社の利益を追求することだけを考えている企業に、
学生は魅力を感じない。
社会への企業の姿勢を、学生はよく見ているものだ。
読者の皆様の中に地方の活性化に興味のある方がいれば、
是非我々の地域活性にむけた活動に参加いただきたい。
コラムへのご感想・ご意見など、ぜひお聞かせください。
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