4/20(日)の日本経済新聞に、
「大卒採用16%増 15年春、6年ぶり10万人超」
という記事が出ていた。
日本経済新聞社が毎年実施している調査データの集計結果で、
既に内定を出し、囲い込みをはじめる企業が多いなど、
15卒採用マーケットの過熱ぶりを伝えるものだった。
この調査対象は「上場企業と有力な非上場企業1962社」で、
つまりは有名大手企業の動向だ。
ここに我々中小企業を含めた採用実施企業を加えれば、
15卒の採用意欲はこの数字以上に過熱していると言える。
弊社の15卒採用活動でも内定を出しはじめており、
昨年夏に始動した15卒採用の前半戦は大詰めを迎えている。
この厳しい採用戦線の中、中小企業も大企業の採用に負けじと
かなりの早期から採用活動に取り込まざるを得ず、
16卒に向けてはよりいっそう、夏時期のインターンシップを
採用活動の一環として計画に組込む必要性に迫られている。
弊社で採用支援をおこなっている中小企業でも、
昨年あたりからインターンシップ参加生が採用決定に至る事例が
散見されるようになってきた。
さて、昨今の採用活動で出会う新しいタイプの学生として、
新しい「新安定志向型」の学生が出現していることを以前書いた。
今年はさらにもう1種類、新しいタイプの学生に多く出会う。
それは、新安定志向とは対照的に、欲求のベクトルが
お金や独立、スキルアップなど自らに向くのではなく、
社会に向けられているタイプだ。
このタイプを我々は「ソーシャルビジネス志向型」と呼ぶ。
ここにも新しいタイプの優秀な学生が多数存在する。
「ソーシャルビジネス」は、耳慣れない方も多いと思うが、
社会的企業と訳される。
その社会的企業を運営する社会起業家(Social Enterprise)は、
社会問題の解決を目的として収益事業に取り組む事業体のことだ。
これがソーシャルビジネスである。
一般的な企業が利益の最大化を目的とするのに対して、
ソーシャルビジネスはNPOやNGOに代表されるように、
ミッションの達成を目的とする。
利益の最大化を最優先しない点が一般の企業との違いだろう。
ただ、ソーシャルビジネスはボランティアやチャリティではない。
決定的に違うのは、単発で終わったり支援に徹するのではなく、
継続する事業活動であり、社会問題に取り組みながら、
サービス提供者からお金を取るビジネスであるということだ。
解決したい課題が社会的なものであり、
かつ、ビジネスとして成り立たせ、利益をあげる活動である。
これまでにも存在したよく聞く志向タイプに照らし合わせると、
安定を求める「公務員志向学生」ではなく、
官僚や技官、上級公務員を目指すタイプの学生に似ている。
ソーシャルビジネス志向は、キャリア官僚希望の学生と比べ、
もう少し緩く社会貢献をとらえていると言えるだろう。
我々企業経営者にとって、単純なボランティア志向の学生は、
ビジネス感覚が薄いという点で、魅力的に映りにくい。
しかし、企業は社会に何かしらの貢献をするために存在する。
事業がわかりやすいソーシャルビジネスでなかったとしても、
社会貢献への意思のない企業など、存在しないだろう。
そこに、より強い社会志向、顧客志向を持ち、
社会にベクトルの向いたやる気ある人材が来て、
自社の仕事にやりがいを感じるのであれば、活躍を期待できる。
このソーシャルビジネス志向学生こそ、
今の時代の新タイプの優秀層なのではないのだろうか。
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