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KAKEHASHI SKY NEWS

2013.09.25 054


ビジネスコラム
「日本の経営者が海外を視察する理由」

2020年の東京オリンピック開催が決定した。
49年前の東京オリンピック当時、私はまだ生まれていなかったが、
日本は東京オリンピック開催を機に国際都市としての認知を得、
驚異的な経済成長を遂げた。
今回の開催もまた、その経済成長を遂げた日本が、
新たなステージで世界に情報を発信し、
日本の魅力をプレゼンテーションする絶好の機会となるだろう。

TPPの交渉参加が決定し、詳細を検討する十分な時間もないまま、
もの凄いスピードで様々な市場開放の準備が進行しつつある。
グローバル化の是非論はともかく、
日本にとってのマーケットが拡大することは間違いない。
同時に、国内マーケットが外国企業に開放されるということは、
避けようがない現実だ。

このグローバル化の波の中、
中小企業の経営者として何が出来るのかを考えてみたい。

1年前の2012年8月、弊社はカンボジアに現地法人を設立した。
プノンペンの市街地に事務所を構え、
弊社専務が月の半分ずつ日本とカンボジアを行き来し、
現地スタッフを雇い入れ、事業をスタートさせた。
1年が経ち、「日本語を話せる現地人材を日本企業に紹介する」
というビジネスモデルに落ち着き、体制が整いつつある。

カンボジアメコン大学の日本語学科に通う学生を増やすべく
日本企業から奨学資金を集めたり、
現地進出を検討する日本企業と現地企業や工業団地を繋げる
カンボジア国内でのネットワークも拡がった。
カンボジアに限らず、東南アジア視察をコーディネートし、
各国を案内したお客様は10数社20名を超えている。

私自身も中国からはじまり、シンガポール、ベトナム、
カンボジア、フィリピン、ミャンマーを訪問した。
一緒に渡航するお客様は、メーカーやIT企業だけでなく、
不動産、人材系などのドメスティックなサービス業も多い。
課税優遇や競争力ある人件費を求め、
製造拠点開設を検討するケースが最も明確な渡航目的だ。
また、将来的な事業譲渡、相続対策を勉強するために
候補地探しを兼ねて現地を訪れるケースもある。

一方で、将来のマーケット構造変化への対応準備として、
とりあえず海外の市場に触れてみるため、
観光旅行では見えないビジネスの側面に直接触れるために、
具体的な目的を持たずに視察する経営者は多い。
漠然とした必要性にかられ、まずは実際に渡航してみること、
海外を見て、あらためて日本を見つめ直すことを目的とし、
視察を依頼される経営者が、実は最も多いように思う。

どの国をいつ訪れても感じるのは、
日本という国に対するアジアの人々の憧れや尊敬の念だ。
そして、どの国でも現地で日本人経営者が頑張っていることに
大きな刺激を受けている。
中でも20、30代の若い日本人経営者はゼロから事業を興している。
彼らに共通するのは、20代で短いサラリーマン経験を積み、
家族と一緒に現地に移り住み、小資本ながら独自資本で起業し、
異国で10年後のマーケットの可能性に挑んでいるところだ。

海外での起業にはそれなりの時間が掛かる。
日本国内でさえ、一から事業を興し、人を採用をし、
収益をあげ、利益を生み、その利益を事業に再投資する、
というサイクルに入るには、早くても3、4年はかかる。
これを海外でやるとなれば、その倍くらいはかかるだろう。

しかし、日本ですでに利益をあげている事業を現地に移築し、
ネイティブを雇用してオペレーションできるのであれば、
その必要期間は随分短縮できるのではないかと思う。
そのために大切なのは、自社の商品・サービスを、
進出する国の文化、慣習、所得層に適応するようカスタマイズし、
ローカライズすることだ。
そのマーケティングには、1年程度の時間を要する。
事業が軌道に乗るまでの計画性と対応力も、
海外へ進出する経営者に求められる要素と言える。

自社ならばどの国を選ぶべきか。
その国で事業を成すために知るべきことは何なのか。
もしくは、今は海外展開せずに日本の基盤を固めるべきなのか。
その判断は、何を根拠にするものなのか。

海外進出するもしないも、イメージだけでは判断できない。
イメージと現実はまったく違う。
まずは自分の目で見てみることだ。

現実と可能性を、自分の目で見てほしい。



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執筆
カケハシ スカイソリューションズ
代表取締役 中川 智尚


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発展目覚ましい東南アジアの新興国、カンボジア王国の首都プノンペンにある私立カンボジアメコン大学。この大学の日本語ビジネス学科に就学する学生の学費を、日本企業が支援する「Student KAKEHASHI Program in Cambodia/カンボジア学生カケハシプログラム」です。
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