私は仕事柄、どんな人材を採用すれば業績を上げてくれるのか、
優秀な人材を採用するにはどんな資質を見抜くべきなのかか、
という類の質問をよく受ける。
経済がグローバル化し、複雑化し、年々高度化する中で、
どの時代にも適応して常に業績を上げ続けられる人材要件など、
特定するのは不可能に近い。
だが、そのような人材となりうる要素であれば挙げられる。
それは、時代や仕事環境の変化に応じて、
自らの仕事に必要なスキルを、
1:柔軟に、2:環境に適応させる努力を、
3:継続する、意思と考え方を持っているということだ。
そんな人材は、国籍、性別、年齢を問わず、
確実に戦力化する優秀な人材と言えるだろう。
その優秀な人材が必ず持つ資質の筆頭は「向上心」だ。
しかし、この向上心の強弱や方向を短時間の面接中に見抜くのは、
非常に難しい。
そこで「向上心」を構成するさらに協議の2つの要素、
「野心(上昇志向)」と「負けず嫌い」に分解してみると、
面接でもそのポテンシャルを見抜きやすくなる。
まず「野心」は、そもそも持っている人材が少ない。
この豊かな社会では野心家と呼べる人材が極めて少ないため、
面接する人材が野心家であれば、それはすぐにわかる。
野心家は自らの野心をアピールするものだからだ。
ただ残念なことに、
イマドキの学生から上昇志向や野心を感じることは少ない。
飽食の時代に生まれ育った若者を昔と比較しても仕方がないのだ。
野心が減った分、彼らには我々にはない何かがあるのだろう。
一方「負けず嫌い」という資質は、
社会が豊かだろうと、そうでなかろうと、
モノの無い時代だろうと、恵まれた今の時代だろうと変わらない
先天的な資質だ。
「負けず嫌い」は性分、つまり性格であり、
何故負けるのが嫌いなのか、などという理由はない。
極めてシンプルな欲求として、負けたくない。それがすべてだ。
この性分はシンプルだからこそ、
後天的に教育で身につけることが難しい。
では、ゲームに強い、野球が上手い、
マラソンが早い、麻雀に強いなどの能力は、
先天的だろうか。後天的だろうか。
これらは後天的な努力がもたらす結果だと私は思う。
ある程度までは生まれながらの才能でこなせるだろうが、
一定のレベルを超えて得意であり続けるためには、
頭が良い、足が速いなどの先天的な才能を
さらに伸ばす努力が欠かせない。
人材採用の場面でよく話題にのぼる「学歴」も、
先天的に備わっている能力を土台としながら、
後天的な努力という能力を加えて勝ち取る結果のひとつだろう。
先天的能力を伸ばすのに役立つのが「負けず嫌い」である。
負けず嫌いは、負けたくない。
勝負するからには負けてはならない。
負けないという明確な目的がある。だから努力できるのだ。
しかし、負けず嫌いでなくとも、
勝負に敗れた経験のない人などいない。
スキルと呼べる「負けず嫌い」かどうかは負けへの対処で決まる。
負けの事実を認める素直さ、正しく現状を認識する謙虚さ。
次こそ勝ちをつかもうとするポジティブな思考と、
その勝ちへの欲求を継続して努力できるならば、
負けず嫌いは立派なスキルと言えるだろう。
一般的に経営者が勝負事好きなのは、負けず嫌いだからだ。
負けるのが嫌い。勝つことが好き。
このシンプルで強い性分が勝ちへのこだわりとなり、
自分で勝負を生み出せる経営者を志向させるのだろう。
そして私自身もそうだが、経営者は負けず嫌いな人材が好きだ。
スキルと言える負けず嫌いかどうか、そのレベル感は、
学生であっても、経験や得意なことを聞けば判断できる。
当社のミートボウルの募集企画で経験や実績を条件にしたり、
イベントでゲームをおこなうのも、ここの判断が可能だからだ。
戦力化する可能性を見抜きたいのであれば、
面接での話の中で、負けず嫌いのレベル感を知ることに
注力してみることをお勧めしたい。
そこで向上心を感じることができれば、
他の能力を見抜く質問にもつなげやすくなるだろう。
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