夏休みが迫り、就活前インターンシップの情報が増えてきた。
インターンシップとは、学生が一定期間企業で研修生として働き、
自分の将来に関連のある就業体験をおこなえる制度である。
日本の場合、大学3年の夏や春などの長期休暇中がほとんどだが、
3年秋から本格化する就職活動に先駆けて就業体験を積むことで、
実際に仕事を理解し、就職でのミスマッチを防ぐ目的がある。
(ウィキペディアより)
インターンシップ経験が就活に有利だと考えられ、
大学のキャリア支援の一環として奨励される傾向にあるものの、
「仕事を理解する」という本来の目的は、
全く実現できていないのが実情だと思う。
1年程度の就業経験ならともかく、
たった1週間や1ヶ月程度仕事を経験したところで、
その仕事特有の魅力や奥深さはわからない。
なぜならば、就業する学生に「働く覚悟がない」からだ。
そもそも仕事は、特にはじめたばかりの仕事は、
どんな会社でも、どんな職種でも、地味で泥臭いものだ。
楽しいことより辛いことの方が多くて当然だし、
その仕事から逃げたいと思うことも一度や二度ではないだろう。
それでも社会人は「就職したことで生まれる覚悟」で乗り越え、
さらに覚悟を強め、向き合いつづけることで成果を上げる。
そこではじめて、その仕事の「面白さ」を知る。
仕事の魅力を知るには、最低限の「時間」が必要なのだ。
一方、インターンシップ生としての就業は短期間であるがゆえに
仕事の一番楽しいところだけを経験させなければならない。
企業は学生を喜ばせるために楽しいところを抜き出す。
つまり、インターンのための仕事を作らざるを得ない。
この時点で、本来の仕事とはまったくの別物となってしまう。
もしそのインターンシップから入社に結びついたとしても、
入社後のギャップは大きくなってしまうだろう。
インターンシッププログラムを企画する立場の私の考える
最も簡単でやる意味のあるプログラムは、
「新規事業を考える」ミッションを学生に与えるというものだ。
既存の事業に紐づいた戦略設計をテーマとすると、
まず詳細な商品理解や現行の戦略理解が必要となり、
社員も学生に現状理解を求めて、説明に時間をかけてしまう。
本業を題材にするとラクなようでハードルが上がるのだ。
新規事業立案や新商品開発コンテストなどはワンデーでもできる。
職業体験の意味はなくなるが、実施はしやすいプログラムである。
では、そもそも新卒採用実施企業が
インターンで早くから学生と接することに意味はあるのか。
結論として、インターンシッププログラム実施には意味がある。
やるかやらないかの選択であれば、間違いなくやるべきだ。
業種や職種で検索し、会う企業を絞っていく就職活動の中で、
既成概念にとらわれずに視野を広げようとする動き、
学生のイメージの枠を取り払えるのがインターンシップだ。
大手企業に限らず、中堅・中小企業にとっても
採用活動での早期接触手段としてインターンを組込むことで、
従来出会えなかった層の学生に数多く会う機会になる。
採用企業と就職活動生の接触の機会が多様化する中、
通常の採用活動とは違うきっかけでの出会いの機会として、
非常に有意義な活動になるだろう。
また、インターン参加生の満足度をあげることで情報が広がり、
本来の採用活動がはじまった後にもプラスの効果を得られる。
ソーシャルメディアの時代ならではの効果と言えるだろう。
大事なのは、いかに効率よく、過剰なパワーやコストをかけずに
面白い学生に会うかだ。
どんな企業でも成功する正解があるわけではないが、
挑戦しなければ成果はゼロのままだ。
大手企業が常に優秀な人材を探しているように、
中小企業も、果敢に攻めの採用をしてみるべきだと思う。
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