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KAKEHASHI SKY NEWS

2013.02.27 040


ビジネスコラム
「アベノミクスと中小企業経営者の仕事」

アベノミクスが騒がしい。
毎日多くのテレビや新聞に「アベノミクス」が登場する。
これだけ騒がれているのだ。
遅くとも数年以内に、我々は変化を体感することになるだろう。
私は経営者として、この経済変化を能動的に考えてみたい。

ここ数年、特にリーマンショック後の急速な円高で、
日本を代表する輸出型メーカーは大きな打撃を受けてきた。
円が高くなった理由は様々あるが、経済学的に見れば、
他国通貨より円の需要が相対的に高いから円高になるという、
実に単純な理由だ。
為替相場も需要と供給のバランスであり、
いま日本はアメリカやユーロ圏がそうしているように、
通貨の発行量を増やして、つまり円の供給量を増やしている。
実際、早くも円高は是正されつつある。

ここ数年の円高で強烈な打撃を受けた業種や会社がある一方、
同じ円高で大いに潤っている業種や会社もある。
晴れて潤う商売と雨が降って儲かる商売があるように、
円は安い方がいいのか、高い方がいいのかという、
正解を求めるような問題ではないのだ。

円安誘導政策によりもっとも恩恵を受ける代表業種は、
電気、自動車などの輸出型企業だ。
特にトヨタやソニーなどの世界的大企業にとっては
短期的には為替差益プラスであったし、中期的にみれば、
ここ数年後塵を拝してきた韓国メーカーとの競争力においても
かなり有利に働くことだろう。その影響で、
各企業の株価はもちろん日経平均株価も20%以上上がり、
金融機関の含み益も増えた。

だが、金融政策だけで景気がよくなるわけではない。
安倍首相は経済団体のトップに社員の給与を上げるよう要請した。
これは、2012年度決算で為替益が出る企業への要望として、
至極真っ当な話だと思う。
できることなら、安倍首相から大企業のトップに向けて、
積極的な正社員採用を要請していただけたら最高だった。
私は本気でそう思っている。

しかし、為替と株式市場の大きな動きの影響で、
大企業や金融機関の経営者心理が前向きに転じたことは、
日本経済にとって大きな意味がある。
よく言われることだが、景気とは「気」だからだ。

金融政策で刺激されたこのプラスの「気」が、
実体経済に反映されるまで、しばらくのタイムラグが発生する。
このタイムラグの間にプラスの気が実態あるプラスを生むよう、
我々が実体経済の中で努力しなければならない。

景気とは、我々の気であり、経済社会に流れる気である。
一人一人の経営者が今後の景気の好転を期待し、
一人一人がその経営姿勢を少し前向きに変えることで、
結果、日本の景気が上向く。
そう考える私が楽観的過ぎるのだろうか。

少なくとも私は、日本で会社を経営する経営者の1人として、
弊社に出来る三つの前向きな取り組みを始めたいと思っている。

1.雇用の拡大
正社員の採用を増やす。
13年度採用を計画数+1から2名とし、採用枠を拡大する。
弊社のような中小企業でも、計画+1名2名の増員であれば、
吸収できる範囲だろう。

2.投資の拡大
既存事業テコ入れに投資し、新規事業開発にも予算を使う。
利益を出すための経費削減には限界がある。
無駄な経費を増やすことなく、しかし確実に抑えながら、
将来に向けた投資を増資や借入によって積極的におこないたい。

3.賞与の拡大
基本給与は社員育成と直結するため慎重にならざるを得ないが、
短期間に業績を上げ、その利益の使い方を再考したい。
内部留保だけでなく、賞与として社員に還元したい。
従来の予算目標に+αの目標を設定し、
その達成を条件に賞与を上乗せしたいと思っている。


中長期的視点では、新しい産業、新しい商品を生まなければ、
本当の意味での日本経済復活はない。
そんなことは誰もがわかっている。
だが、短期的に刺激された‘好景気感’が必要なことも事実だ。

このアベノミクス的好景気感をただの感覚で終わらせず、
確実に日本社会の波にしていくことも、
この時代に経営を担う我々の責務なのではないだろうか。



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→letter@kakehashi-skysol.co.jp







執筆
カケハシ スカイソリューションズ
代表取締役 中川 智尚






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