最近「LINE」を使っている。
まだまだ使いこなせてはいないと思うが、
若者が使うツールにはついていかなければならないと思い、
苦手ながら挑戦しているところだ。
facebookやTwitterなどのSNSもそうだが、
今どきのツールを知らないのは、常識を知らないことに等しい。
個人的には興味がなくても、経営者としては逃れられないのだ。
インターネットが登場した頃に今の私くらいの年齢だった方々は、
慣れないインフラの扱いに四苦八苦されたのだろうと思う。
インターネットが一般化した1990年代後半、
求人広告媒体も一気にインターネット媒体へと様変わりし、
企業の人材採用事情が一変した。
それまで、就職情報媒体と言えば電話帳のように分厚い冊子で、
それが業種別に何冊もあり、企業が増えるごとに分厚くなって、
学生の自宅にDMとして大きなダンボール箱で届けられていた。
当時、大手情報誌会社で営業をしていた私は、
営業カバンで持ち歩いたその冊子の重さをよく覚えている。
インターネットの出現で就職情報は冊子からナビに変わり、
その広告枠を売る営業マンのカバンも変わり、
求人企業、特に中小企業の応募者獲得は飛躍的にラクになった。
紙媒体時代、営業マンとして顧客から高い広告料を預かりながら、
まったく学生からの応募がない状況に、かなり辛い思いをした。
ネット化で中小企業に学生が訪問するようになったことは、
当時、非常に嬉しかった変化だ。
採用活動のインターネット化には功罪あるが、
圧倒的に功の方が大きいだろう。
紙媒体の延長線上には、今の中小企業の採用力はなかったと思う。
資金力では勝負できない中小企業でも、
今はアイデアや工夫次第で有名大手企業と張り合うことができる。
逆に、どんなに資金があっても工夫を凝らさなければ、
採用力を上げることができない。
ナビ媒体以外に何を採用広報ツールとして使うのか、
どんなイベントや選考を受け皿として準備するのか、
工夫すべきポイントやツールは毎年のように増減し、変化する。
結果を出すためには、採用活動をフォーマット化することなく、
新しい取り組みに躊躇しない姿勢でいるしかないのだ。
今の就活生はほぼ平成生まれだ。
私たちがインターネットの登場に衝撃を受けた頃に生まれた。
彼らにとってインターネットは電気や水道と同じで、
スマホも、SNSやLINEなどのアプリも、何も特別なものではない。
就活だからといって彼らの使う道具が変わるわけはなく、
あらゆるツールで就活の情報収集、交換がおこなわれている。
今年の採用活動で学生の傾向として感じるのは、
・ナビへの依存度が非常に低い
・ネットは情報収集と情報交換にしか使わない
・イベントなどアナログな出会いの場を求めている
など、デジタルネイティブならではの割り切った言動だ。
中でもアナログ接触への意欲はかなり強い。
当社でもミートボウルで様々なイベントを開催しているが、
参加学生は皆、そのイベントでの企業との出会いに期待している。
インターネットで徹底的に検索して情報収集すると同時に、
実際に企業と会って話すことで自分にあった企業選びをするのが、
彼らの就活スタイルだ。
採用手法が超アナログな人海戦術から広告媒体となり、
媒体が紙からネットへと変化してきた流れで考えると、
今の学生の動きは、アナログ回帰しているように見える。
今年の就活はデジタルとアナログのハイブリッドなのだ。
この流れの中で企業に求められるのは、
デジタルとアナログ双方での新しい出会い方への順応である。
特に、デジタルネイティブな学生に対応するために
ネットでの情報発信で工夫を重ねてきた企業では、
アナログ接触に注力する準備を始めた方がいいのではないだろか。
企業もハイブリッド化の必要に迫られている。
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