先月号で「女性営業の市場価値」について書いたところ、
社内外で多くのご意見をいただいた。
私自身は、取り立てて女性の採用がうまいわけでもないし、
女性社員のマネジメントが得意だと思っているわけでもない。
ただ会社としては、戦力となる優秀な女性営業をたくさん採用し、
そこから女性の営業マネージャーも育成してきた経験がある。
それは、経営戦略として明確な意図を持って、
女性の採用に積極的に取り組み、優秀な女性を採用したからだ。
そして、採用した彼女たちが活躍してくれた結果、
女性がいきいきと働ける職場が出来上がったのだと思う。
「ポジティブ・アクション」という言葉をご存知だろうか。
私がWEBで検索した解説によると、
「働く女性の能力発揮を促進するために、
企業が行う自主的、かつ積極的な取り組みのこと」だそうだ。
もっと簡単に言うと、
「女性の活躍を広げるための女性向けの施策」だ。
本来であれば、男女雇用機会均等法の下、
雇用や登用の機会を性別で分けることは許されないはずだが、
このような‘逆差別’にも捉えられるポジティブ・アクションが
国を挙げて推し進められているのは、
未だに女性の活躍の場が広がらない企業の多さからだろう。
実際に自社や周りの現状を見てみると、
営業中心の会社なのに営業職の女性がほとんどいない、
中間管理職に就いている女性がいない、
結婚してからも継続して働いている女性がほとんどいない、
などの状況にある会社はたくさんある。
こういう会社が積極的に女性を活用するために、
就業支援制度を設けたり、女性の採用枠を設けたり、
女性のみを対象としたアクションを起こし、
そのアクション自体を公表し、周知することで、
同様の状況にある会社に問題意識を持たせることも、
ポジティブ・アクションの目的なのだと思う。
女性が少ない職種や役職で男女均等取扱いを目指す活動なので、
たとえば「女性営業職を積極的に採用する」という
ポジティブ・アクションの宣言をした場合、
女性採用強化のために面接に女性面接官を配置したり、
社内で女性限定の管理職育成セミナーを開催することも可能で、
それを公言することもできるのだ。
本来であれば性別による差をつけられない労働条件の中に、
「女性限定、もしくは、女性を有利に扱う」制度を設けられる。
そうまでしないと、「均等取扱い」は実現できないのだろう。
厚生労働省や内閣府の指導により、
すでに様々な企業が色々な施策を掲げ、実施されており、
モデル企業が表彰されたりしてはいるものの、
取り組めている企業はまだまだ少数派だ。
特に有名大手企業のポジティブ・アクションはまだまだ少ない。
大手企業はポジティブ・アクションに頼ることなく、
優秀な女性を採用することができるからなのだと思う。
逆に考えると、大手企業の取り組みが進んでいない今だからこそ、
中小企業の人材戦略には非常に有効なのではないかと思う。
女性営業の優秀さについては先月号でも触れたが、
中小企業でも優秀な女性を採用することができるし、
経営者に女性営業を育成していく意欲と覚悟があれば、
何業であっても結果を出す営業職として成長していくはずだ。
かくいう当社には、まだ女性の支援制度や仕組みがない。
社員の男女比率はちょうど半々くらいだが、
取り組みの指標となる管理職に占める女性の割合でみても
女性の執行役員が一人いるだけで、
肝心の営業部門には女性マネージャーが一人もいない。
先日も男だらけのマネージャー会議に出席しながら、
女性マネージャーを育成しなければ会社が伸びないと感じ、
あらためて危機感をもったところだ。
ポジティブ・アクションを有効活用することで、
優秀な女性の採用だけでなく、女性社員の労働意欲の向上や、
企業イメージの向上などの副次的な効果も得られるだろう。
これからの企業の成長に、女性の力は欠かせない。
会社を伸ばしたいと考える経営者であれば、
どのような活用が考えれるか、一考する価値があると思う。
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