女性営業職の市場価値が高まっている。
近ごろそう感じる機会が多く、その理由を考えている。
まず、一般的に男性より女性の方がコミュニケーション力が高い。
女性の社会進出によって相対的な社会的ポジションが上がり、
購買決定に対する女性視点の重要度が増した、
ということは以前から言われているが、今はそれにプラスして、
インターネット利用の増加でユーザー志向が多様化、複雑化し、
マーケットがより高度なコミュニケーションを求めるように
なってきたからだと思う。
我が家でも日常の生活用品や食事場所はともかく、
不動産にしても、車にしても、家電品にしても、
高額商品の購買決定には家内の意見を反映することが多い。
その理由は、インターネット上の口コミや価格の情報収集力を
私以上に持っているからだろう。
以前からエンドユーザーを対象にするBtoC型のビジネスでは
女性の営業パーソンと会う機会は多かった。
しかし今は、BtoBの法人営業の場面でも、
女性営業の割合が格段に増えてきていると感じる。
私自身も女性営業パーソンから営業を受けることがあるが、
男性営業より、女性営業を好む傾向にあるようだ。
なぜ、私にとって女性営業が望ましいのか。
それは、
1.女性相手の方が断りやすいため初見でも抵抗感なく会える
2.男性は気が付かない視点での細やかなアドバイスができる
3.フォローがマメ
そんなイメージがあるからだ。
今やマーケットはユーザー主導であり、
誰でもいくらでもインターネットで情報を得ることが可能で、
クロージング力で迫られて押し切られるような購買者は少ない。
たとえBtoBでも、発注者はBtoC市場の消費者でもあるわけで、
BtoCとBtoBの営業を分けて考えることはできないのだ。
ユーザーの思考を先取りし、的確な情報を提供し、購買を促す。
この一連のコミュニケーションが現在の営業活動の主軸ならば、
女性の営業力が男性に勝るとしても不思議ではない。
女性営業はマーケットニーズとともにますます増えるだろう。
だが、人材採用の面からみると、
中堅・中小企業が優秀な女性職を採用するのは難しい。
特に中途採用での獲得は難しいと言える。
すでに営業で実績をあげている女性は市場価値も高く、
転職を機にキャリアアップを目指し、大手企業を志向する。
この即戦力への求人ニーズは非常に高く、獲得競争が激しいのだ。
それもあり、優秀な女性営業職を採用するなら新卒が望ましい。
男女の雇用機会が均等だと言っても実際には男性の求人が多く、
女性の就職は圧倒的に厳しいため、
応募してくる学生の中で比較すると、女性の方がレベルが高い。
また、入社段階の年齢で考えると、
女性は男性よりもゆうに2、3歳分は精神的に大人だ。
そのため戦力化も早い。
大手企業でも、中小企業でも、
たまに商談場面で出会う30歳前後の女性営業マネージャーは、
聞いてみると新卒入社の方が多い。
そしてなにより、新卒で入社すると社長へのロイヤリティが高く、
女性の扱いが苦手な経営者でもマネジメントしやすい。
男性経営者の女性扱い下手を理解し、気を回してくれるからだ。
いろいろな企業の採用活動の現場を見ていると、
明らかに女性の採用が上手い会社と下手な会社がある。
会社のどのような情報を伝え、どの魅力で惹きつけ、
どの能力を見極めるべきかも、男女で違いがあるのは当然で、
その違いを理解しているかどうか、そこを意識しているどうかが、
男性と女性、双方の採用成否を分けている。
営業職を採用するなら、女性採用に力を入れることをお勧めする。
女性の採用が上手い会社を目指すことで、
採用力の全体的なレベルアップが可能になることは、
経営者として認識しておきたい事実である。
そして、女性を積極的に採用するならば、
「ポジティブ・アクション」くらいは知っておきたいものだ。
(次月の「女性営業の市場価値・2」につづきます)
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