私はゴルフが好きだ。そう上手いわけではないが、
練習して上手くなるプロセスを楽しむ「練習好き」である。
一人で黙々と打ち込むこともあるが、
プロやプロ級の方からスウィングにアドバイスいただくことも多い。
プロに教わる最大のメリットは、時間を短縮できることだ。
プロと素人では経験数、踏んできた場数が圧倒的に違う。
その経験に裏付けされたノウハウやスキルを教わることで、
時間を短縮し、高いレベルに到達することが可能となる。
（残念ながら私のゴルフがそこに到達しているわけではない）
彼らは私がミスショットをした時、
そのミスは何が原因なのかを的確に教えてくれる上に、
その修正方法を教えてくれる。
後ろで見ながらで、一打一打のミスの要因を分析してくれるのだ。
「右に曲がったのはスイングがアウトインになっているからです。
アウトインにならないためにはこう振るイメージです」
「今のはヘッドアップです」
「トップで左手の甲が内側に入っていました」など、
ゴルフのたった一打分、あの瞬間的なスピードのスウィングを、
瞬時に見極め、原因を指摘してくれる。
もっとゴルフが下手だった頃は、
練習場で独り、がむしゃらに、ひたすらボールを打っていた。
自分は不器用なので、とにかく球数を打つしかないと考え、
一日に200球以上、手にマメができるまで打ちこんでいた。
ただ、ミスショットしても自分ではその原因がわからないので、
また同じように打ち、同じミスショットが出る。
何球か打っているうちに、たまたま真っすぐ飛ぶこともあり、
それが2、3球続くとなんとも気持ちがよくなり、
ちょっと一服したりする。すると不思議なことに、
再開後また同じミスが出るのだ。
そして原因が分からないまま、さらに打つ。この繰り返しだ。
だから、私は自信を持って言える。
下手な人が独りで10回練習場に行くよりも、
プロのコーチに1回だけ教えてもらう方が上達は早いし、
格段にレベルが上がる。
ゴルフに限らず、その道のプロに共通するのは、
理論に裏付けされた再現性あるスキルを持っていること。
もしくは、理論的にミスを再現しないスキルがあることだ。
我々は採用のプロだ。
人材採用のあらゆる場面、会社説明会や面接、試験、内定通知、
内定辞退もふくめた場面場面を、
自社でも顧客の採用活動サポートでも経験し続けている。
採用のプロとして助力になれるのは、
その企業が今どのレベルを目指せる段階にあるかを
判断できるからだろう。
13新卒採用がやっと一段落したところだが、
休む間もなく14採用を準備する時期になった。
景気上昇や採用意欲の上昇など、
雇用環境の行く末を予想する様々な記事を見るが、
今の採用環境は企業、学生双方にとって適度な状況にある、
というのが私の見解だ。
学生は、中小企業にも目を向けることで選択の幅が広がり、
職を得ることが可能だ。
企業はある程度予算を割けば学生が集まり、採用数を確保できる。
今の採用レベルに満足であれば、
取りたてて新しい採用活動をする必要もないだろう。
しかし、企業にとって人材採用はビジネスだ。
投入する費用とかける時間、人員でどれだけの効果を期待するか。
その費用対効果も、大事な採用目標のひとつである。
facebookなどのソーシャルメディアを使ったり、
ユニークな採用手法を取り入れる会社はまだまだ少数派で、
その効果は絶対か、投資対象として安全かと問われれば、
どんな企業でも成果があがる取り組みとはまだ言い切れない。
だが、これまでの採用経験やスタンダードな採用活動は、
こうした新しい取り組みへ投資するために培っているものだ。
ある程度安定した採用活動をおこなう力があれば、挑戦もできる。
現状で集まる学生のレベルや採用活動に満足せず、
次のレベルを目指し投資を決めた会社が、その少数派なのだろう。
そう考えると、人気企業や大手企業の人事担当者も採用のプロだ。
採用活動で会う学生数は半端ではない。そこで蓄積された経験と
判断力、決断力という素晴らしい採用スキルがあるのだと思う。
だからこそ、すでに人気企業であるにも関わらず、
自社に振り向かない学生と会うため、採るために、
いつも新しい手法を探し、新しい企画にトライしているのだ。
もし機会があれば、2014年度の採用計画を考える時、
採用広告会社の営業担当だけでなく、
人気大手企業の人事担当者に相談してみるのも面白いと思う。
コラムへのご感想・ご意見など、ぜひお聞かせください。
→letter@kakehashi-skysol.co.jp
