新卒学生の最終面接のため、ベトナム・ハノイへ行ってきた。
エンジニア2名の採用を決め、今入社手続きを進めている。
彼らは夏のうちに来日し、東京で働く予定だ。
毎年おこなっている中国採用でも1名に内定を出したので、
今年は外国籍の社員が3名増えることになる。
彼らの来日がとても楽しみだ。
弊社で中国採用を開始した頃は未開のマーケットだったが、
一昨年あたりから「グローバル採用」という概念が
日本企業の中で急激に浸透しはじめたと感じている。
企業のグローバル化、その必要性が叫ばれる状況は
もっとずっと早くからはじまっていたが、
そのためには人材のグローバル化が必須であると認識され、
グローバル採用が企業ニーズとして顕在化したのだ。
私はその変化を実感している。
そもそも企業がグローバル人材を求めるのは、
国内マーケットが飽和して将来的にも縮小が見える中、
潜在的マーケットサイズを拡大することで規模の経済を達成し、
需要獲得とコスト削減を実現できる。
というメリットの享受が前提だ。
細かい是非はさておき、
自社製品が世界中の競合との競争にさらされている大手企業が、
グローバル化せずに競争力を強めることは不可能なのだ。
一方、中堅・中小企業がグローバル採用に興味を持つのは、
大企業でのマーケット拡大やコスト削減などの理論的理由よりも、
経営者の興味や漠然とした危機感によって
グローバル人材の必要性を体感するべきだという感覚からだ。
取引先の海外展開や将来への投資というきっかけにより、
本格的な設備投資の前に人を採用してマーケットリサーチする、
という感覚なのだと思う。
そしてその感覚でグローバル化の助走をはじめることで、
はじめて中小企業のグローバル化が実現するのだとも思う。
こうして日本のグローバル採用マーケットが加熱する中、
弊社カケハシは中国に続いてベトナムでの採用に着手した。
2大都市であるハノイとホーチミンで採用活動をおこない、
私自身が感じたことに現地企業経営者の情報を加味すると、
ベトナム人は勤勉で、手先が器用なあたりが日本人と似ている。
日系企業への憧れの強さや短期的メリットを優先する傾向は、
ベトナムが成長著しい新興国である証しだろう。
また、同じベトナム国内でも
ハノイ(北部)とホーチミン(南部)では就職観が大きく違う。
「一年中温かく、四季のない気候のホーチミン」の人は楽観的で、
転職志向が強い。
「四季があるハノイ」には冬の備えをする習慣があり、計画的。
仕事に対しても慎重だ。
両都市でどちらのタイプの学生とも会い、
結果、弊社ではハノイ工科大学で2名のエンジニアを採用した。
2人とも日本語も堪能で、日常会話に困らないN3レベルである。
私は今年何度かベトナムを訪れたが、
ベトナムの街に立つたびに、成長著しい国にしかない
強烈な国の勢いと人々のエネルギーを感じる。
ベトナムの2011年のGDP成長率は6.9%。
もはや日本国内では感じにくくなった、
成長や発展に対するまっすぐな意欲を体感できるのだ。
このベトナムを訪れる日本人は年間約50万人。
中国への渡航者と比較するとまだまだ圧倒的に少なく、
日本での注目度はまだ高くないのだと思う。
だからこそ、今がチャンスだ。
日本に憧れ、日本が好きな優秀な人材を採用できる。
あいまいな表現だが、まだ擦れていない彼らが、
事業の可能性を探るヒントになることは、想像に難くない。
企業は、その構成員である人材を多様化させることで、
社会の多様化に対応していく必要がある。
同時に、経営者は事業モデルも変化させ続けなければならない。
経済はグローバル化し、社会が多様化し、事業モデルも変化する。
三次元に絡み合う変化に対応し、自らも変化しつづけるために、
グローバル採用はこれから必要性を増すばかりである。
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