企業の年中行事といえば、
決算、創立記念、内定式、入社式など様々なものがあるが、
大企業と中小企業では節目となる行事やその意味合いが
少し違うように思う。
国税庁に2007年度の決算を申告した国内法人は262万7161社。
そのうち決算期を3月としている法人は53万76社で、
申告法人全体の約20パーセントにあたる。
上場企業に限定すると、3月決算が1613社/2310社で75％。
2番目に多い12月決算の企業が167社と7.8％しかなく、
1位の3月決算企業が2位の12月決算企業の10倍あるという、
ものすごく極端な“一極集中”ぶりであることがわかる。
上場企業のほとんどが、3月末に決算上の締日を迎える。
1年間の企業活動の集大成が決算であり、
経営者がその実績を確認すると同時に、
社員は期初に立てた各自の年間目標の達成有無を再確認する。
達成感や反省、課題などを考え、自身を見つめるタイミングだ。
翌4月1日に迎える新年度は異動や昇進、昇格の時期でもあり、
誰もが心新たになる日だ。
そして同日、新入社員が入社する。
新しい人員が加わることは、何よりの‘心機一転’材料だ。
つまり、日本のほとんどの上場企業では、
節目を感じる2つのタイミングが重なっているのである。
当然1年を単位に活動する法人として、4/1は特別な日となる。
今月1日、弊社カケハシにも記念すべき4名の1期生が入社した。
設立1年にも満たない弊社にとって、
4月1日に新入社員が加わった意味は非常に大きい。
彼らの入社にあたり、既存の社員たちは受入れ準備をはじめ、
プログラムや講師の計画を練り、教育をはじめた。
新入社員を育成する彼らは、皆一様に活き活きしている。
オフィス内に笑顔が増え、
昨日まで新人だった2年目社員も先輩らしい顔つきになった。
新たに仲間が増えた喜びはもちろんだが、
研修で‘教える’側に立つことで得られる変化が大きいのだ。
経営者が社内外に対して自社を語るのは当たり前の日常だが、
社員が自分の言葉で事業内容を説明し、会社の未来を語る、
また、自分の目標や仕事内容を語る機会はあまりない。
人材の採用・研修活動を通じて自社や自身を他者に語ることで、
会社のビジョンや価値観を再認識し、共有度合を強めるのだ。
4月は1年の中で最も社員の成長と変化を目視しやすい。
実際、過去に業績低迷で新入社員を採用しなかった年があったが、
その年の4月1日はいつもと何ら変わらない日常の一日であり、
どうしても特別な日にはなりえなかった。
当時は3月末が決算だったにも関わらず、
4月1日特有の‘節目’感がほとんどなかったと言ってもいい。
現在の弊社は5月末決算である。
中小企業の決算月は、ビジネスモデルあるいは事務手続き上、
最も都合のいい月を選ぶ、もしくは単純な設立月による設定が多い。
弊社はビジネスモデルによる理由で5月末としており、
決算は目標や組織を1年で最も大きく動かすタイミングとなる。
しかし、決算という理由だけでは、
社員の感情を大きく動かすに足らないことも事実だ。
社員のモチベーションや様々な決意には、会社の会計年度ではなく、
幼少期から積み上げた3月締め4月始まりの年度が大きく影響する。
社員が決算以外で会社の変化、成長を感じることができ、
経営者が、そして社員自身が変化と成長を目の当たりにする
特別な節目の日、4月1日を手に入れるためにも、
企業は新卒社員の採用活動に取り組むべきなのだと私は思う。
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