3/21からの4日間、採用のために上海へ行ってきた。
11月のツアーが早期戦。今回は中国人採用の中盤戦ツアーだ。
初めて自社で中国人を採用をしたのが2004年。
それからの中国の経済成長はめざましく、それに伴い
大学生を取り巻く環境と意識も変わってきている。
今回上海で会った学生との面接での所感をもとに、
ここ数年で感じた中国の採用事情の変化についてお伝えしたい。
まず、中国人はどんどんおしゃれになってきている。
特に女子学生のファッションに対する意識は高く、
彼女らのセンスは日本の学生と比べても遜色ない。
化粧も上手く、8年前には合説会場にいる数百人のうち
たった数人だった茶髪の割合は今、半数を越えている。
また、日本への留学経験を持つ学生もかなり増えており、
日本語を学ぶ学生は、日本留学や日系企業でのアルバイト、
インターンのどれかを経験しているため、
日本語能力の平均値もかなり高くなったように感じる。
特筆すべきは、就職観の変化だ。
以前、中国人大学生に共通する印象は「ハングリーさ」だった。
彼らは日本への就職というチャンスに対して貪欲だったのだ。
しかし、今年会った学生にその貪欲さはあまりなかった。
彼ら曰く、親と同居したり、そばに住んで援助を受ければ、
5千元(7万5千円)程度の給与で十分豊かに暮らせるため、
就職に対する必死さがなくなったということらしい。
特に地元志向の学生は就職意欲は低く、
安定志向が強いため、公務員に人気が集まっているそうだ。
中国では1980年代に生まれた層をバーリンホウ(80後)という。
バーリンホウは中国の急成長とともに育った世代のため、
家庭は豊かでITリテラシーが高く、消費欲が旺盛だと言われる。
また、一人っ子政策のため、親の面倒をみる意識は高く、
ハードワーカーで現実的。そしてお金、出世意欲は高い。
この世代はわがままだが、前向きな若者層と言われ、
中国の消費マーケットの牽引力となっている。
去年まではこのバーリンホウに会ってきたのだが、
今年の面接では初めて1990、91年生まれにも会った。
中国ではこの90年代生まれをチューリンホウ(90後)という。
チューリンホウは中国で新人類と言われる世代で、
その特徴は、ゲーム好きが多く、働く意欲は低いことだ。
さらに豊かな家庭環境で育ち、親や親戚に溺愛されており、
自己中心的な考え方が強く、理想主義である。
自分のやりたいことだけをやり、情報収集力が高く、
新しいことに関する関心が高い傾向にある。
今年の学生は明らかにこちらのタイプが多かったように思う。
私が中国の「時代の変化」を体感できるほどの変化だ。
彼らのITリテラシーの高さは、情報収集欲の旺盛さでもある。
中国政府の規制で禁止されているはずのfacebookも、
アクセスを可能にするソフトの普及により、
外国人と知り合いたい学生、外国人の友達がいる学生を中心に、
全体の4割近くの学生が使っているとのことだ。
また、中国版Twitterと言われる「微博(ウェイボ)」の
ユーザは4億人を越えており、大学生のほとんどが使っている。
日本企業の情報収集にもSNSを活用しているのだろう。
先頃、中国政府は経済成長の目標値を下方修正したが、
実際に現地へ出向いてみると、その影響はないように感じた。
なにより、日本の学生と比べて将来に明るい希望を抱いている。
国家に対する信頼度も高い。
今回の中国での採用活動で感じたのは、
ITの発達と留学の浸透により、時代の先端を生きる大学生は
物凄いスピードで「成熟化」しているということだ。
一緒に参加されたクライアントも、
一様に想像以上の学生の優秀さに驚かれていた。
豊かに育った彼らを採用するためには、待遇だけでなく、
「企業の理念」と「企業の未来」を示さなければならない。
当たり前のようだが、日本での採用活動と同じなのだ。
中国での採用は、ますます面白くなってきている。
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