来月11月、中国上海へ行く予定だ。
目的は中国人の採用活動をおこなうため。
同じ目的を持ったクライアント数社と共に、上海へ向かう。
中曽根内閣時代の「外国人留学生30万人計画」により、
日本への留学生は年々増加している。
中でも外国人留学生の6割近くを占めるのが中国人だ。
そのまま日本での就職を希望する学生も多く、
新卒採用で中国人留学生が応募してくることも少なくない。
つまり、日本国内にいても中国人学生には会えるのだ。
ではなぜ、わざわざ中国現地へ足を運ぶのか?
それは、中国が完全な学歴社会であることに起因する。
中国には「高考」という、
日本のセンター試験にあたるような受験制度がある。
しかし日本とは違い、中国には大学・学部別の試験がなく、
高考の点数によって自動的に入学できる大学が決定する。
この「高考」の試験結果がすべて。一発勝負だ。
中国全土の受験生、約1,000万人がこの試験を受ける。
人口を考えれば当然なのだが、受験者数も桁違いだ。
世界的にも有名な北京大学や清華大学などの超難関大学は
もちろん中国国内での人気も高い。
競争は熾烈である。
高考の成績順に志望大学への入学が許可されるということは、
すべての大学が明確に順位付けされているということ。
中国には現在1,794もの大学があり、
(参考:日本の大学数は758校/平成21年調査時)
この約5%にあたる100校が「国家重点大学」に指定され、
さらに、この100校のうち38校の超難関大学が、
重点的な投資対象として「985工程大学」に指定されている。
大学のピラミッドが、厳然と存在するのだ。
国家が学歴のピラミッドを構築しているのだから、
日本では考えられないほどの学歴社会になるのもうなづける。
完全な学歴社会である中国では、
高考の成績が人生の成功を決定すると言っても過言ではない。
学歴は一生、ビジネスの現場について回る。
そして、このピラミッドのほぼ頂点に当たる学生層には、
様々な理由で日本に興味を持ち、
独学で日本語を勉強している学生達が多数存在する。
距離の近い先進国としての興味もあるだろうが、
私の印象では、中国の若者層には日本ファンが多いのだ。
日本のアニメやアイドルをよく知っているし、
ネットを通じて日常的に日本の漫画やドラマに触れることで、
日本のいいイメージが定着しているように思う。
彼らの中には短期留学で来日した経験のある学生も多い。
将来のために学歴ピラミッドの頂点を獲得し、
興味や視野拡大のために日本への留学も経験した学生。
日本でいう留学経験のある東大生のような感じだろうか。
そんな学生が、毎年500人近く弊社の企画に集まってくれる。
ピラミッドの頂点にいる、かつ日本ファンであるこの優秀層を、
中国へのブリッジ人材として採用するのが上海渡航の目的だ。
文化の違う中国人を、新卒で採用することにも意味がある。
経験やスキルを重視する中途採用ではなく、
新卒者をポテンシャルで採用するのは、日本人採用と同じだ。
日本で社会人としてのスタートを切り、
日本企業の理念や風土にロイヤリティを持った若者が、
日本のビジネスを中国、アジアへと発展させる架け橋となる。
実際、弊社も8年前から何人かの中国人学生を採用してきた。
うち2名はその後中国に帰国して自分で会社を興し、
今では弊社の事業パートナーとして、北京・上海地区の
中国人大学生への広報、説明会動員を手伝ってくれている。
最高峰学歴と日本企業での就労経験が、彼らの大きな武器だ。
中国での新卒採用サービスは今年で5年目。
毎年や隔年の定期採用で繰り返し参画する企業も多く、
中国がますます無視できない市場となったことを実感する。
そして中国とのビジネスには、中国文化の理解が不可欠だ。
日本企業で学んだ中国人が活躍する時である。
中国と日本の架け橋となるため、その橋を増やすために、
この企画を続けていきたいと思う。
コラムへのご感想・ご意見など、ぜひお聞かせください。
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