2023年卒学生の有効求人倍率は1.58倍と昨年度に比べ上昇し、特に中堅・中小企業において採用需要過多な状況です(参考:https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/assets/20220426_hr_01.pdf)。
大手就職ナビサイトの掲載企業数が昨年度よりも増加していることを見ても、Withコロナ時代における新卒採用活動再開の動きが感じられます。
そのような状況下、「就職ナビだけではターゲット学生と会えない」という企業が増えてきたように思います。特に、学生には認知がされにくいBtoBの企業や、中小規模の企業において顕著です。私の担当しているクライアントでも、就職ナビ経由の応募数が一昨年や昨年に比べ半数、それ以下になった企業もあり、「脱ナビ」の世界がすぐそこに来ている感覚があります。そこで私は、そうしたクライアントに対し、 “ダイレクトリクルーティング+採用オウンドメディア(情報発信型の採用サイト)”を採用活動の主軸に据えることをお勧めします。
ダイレクトリクルーティングのすすめ?
- ターゲット学生に出会う&効果的な打ち出しを把握する -
ダイレクトリクルーティングは、採用メディアとしてここ数年で頭角を現してきました。情報過多な就活戦線ですから、学生としても条件のマッチした企業からスカウトが届くことは、探す工程が削減され、ありがたいのでしょう。企業としても、学生に直接アプローチができるため、自然流入ではなかなか会えないターゲット学生の母集団形成も可能になり、利用が増えています。
就活の口コミの書き込み・閲覧ができることで学生利用者数が非常に多い就活サイト「ONE CAREER」も、今年2月からスカウトサービスを開始しました。4月のスカウト反応率は良く、個人的には特に利用企業の少ない今がチャンスと見ています。
株式会社ワンキャリア調べ ※4月28日実績
また、ダイレクトリクルーティングには“学生と出会える”以外にもメリットがあります。それは、「どのように打ち出せば、学生からの反応率が良くなるか」を効果検証できるという点です。打ち出し内容を変えたスカウトメール文を何パターンか作り配信し、承諾率の高さを比較することで学生の反応がいい打ち出しを即検証できます。反応のよかった打ち出し要素は、説明会で伝える内容や、リクルーター面談、また下記の採用オウンドメディアなどでの有効なネタとして活用しましょう。
採用オウンドメディア(情報発信型の採用サイト)のすすめ?
- 会社の魅力を伝え続ける -
ダイレクトリクルーティングに切り替えた際に、採用サイトの拡充は重要です。ダイレクトリクルーティングサービスに掲載された、学生が閲覧できる少ない企業情報とスカウトメールの内容だけでは、学生の企業理解と安心感の面で不十分だからです。コロナ禍においてWeb上での情報提供の重要性が増したことで、すでに採用サイトをお持ちの企業も多いかと思います。ぜひそこにプラスしていただきたいのが、「採用オウンドメディア」と呼ばれる情報発信型の採用サイトです。
“会社の魅力や事業を正確に表現”することを主目的としている採用サイトと比べ、採用オウンドメディアは“会社のリアルな魅力をタイムリーに表現”することを目的とします。代表的な事例としては株式会社メルカリ様の「mercan(メルカン)」が挙げられますが、その他にもオンライン採用で伝えにくくなった社風・人を伝えるツールとして導入する企業が増え始めています。活躍する社員や社内イベントなど紹介する記事を多々更新していくことで、学生は受信したスカウトメールの内容以上に、その企業のことを深く広く知ることができるようになります。学生の多様な志向・価値観に合った自社の魅力を十分に訴求することが可能になるのです。
“当たり前”に流されず、自社に合った採用手法を。
6月からプレサイトもオープンし、2024年度採用活動がスタートします。ここで紹介した“ナビ依存からの脱却”の戦略は、各社の採用目標などによってもちろん適す・適さないがありますが、これまでの当たり前がそうではなくなっている、大きな採用市場のうねりが感じられる昨今であることは間違いありません。前述したダイレクトリクルーティングでの打ち出しの効果検証のように、今の学生に刺さる自社の勝ちどころはどこか、現在の採用市場でのベストな手法は何か、といった思考や“去年と同じ”ではない試行錯誤は、今後さらに重要になることでしょう。