「他社の選考はどこまで進んでいるの?」
そう学生に連絡している方も多いのではないでしょうか。
2023年度採用では早期インターンシップで学生と出会い、そのまま早期選考を実施する企業も増えました。そんな中、4月の段階ですでに選考終盤を迎え、内々定を出したい・内定承諾をしてほしい学生に対して、他社の選考状況を確認する連絡が続いている方も多いのではないでしょうか。学生に対して、何度も電話やメールで確認をとることは企業側としても心苦しい部分もありますし、その問いに対して、企業が求める結論を出せないことに、正直辛い気持ちになっている学生もいるでしょう。このように両者が心苦しくなるような状況が起こっている理由としては、「早期選考」に対する企業と学生の心理に大きな温度差が生まれていることが挙げられます。
インターンシップに参加することが当たり前になった就職活動において、2023年卒採用の内定率は4月1日時点で46.5%と、昨年同時期と比較して8.3ポイント増加。そして、先月3月1日と比較すると17.9ポイント増加しています。また、内定を獲得できた企業の70%以上が「インターンシップに参加した企業」と回答しており、こちらも前年より比率が高まっていることが分かります。それほどまでに企業も学生も共に活動の早期化が進んでいるのです。
※参考元:株式会社ディスコ「4 月 1 日時点の就職活動調査キャリタス就活 2023 学生モニター調査結果(2022 年 4 月発行)」
しかし、採用活動を前倒しすることで下記のようなことも起きています。
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・インターンシップ参加学生へ早期選考の案内をしても、選考を希望する学生が少ない ・早期選考に参加していても、企業や仕事への理解が浅く、学生から入社意欲を感じられない ・選考慣れしていない学生も多く、学生本人が魅力を発揮しきれず不合格になってしまう |
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私自身も自社の採用活動に携わる中で、最終選考に参加した学生が他社と悩む姿や、自分が本当にやりたいことが何なのか迷っている姿を見てきました。そんな学生は皆さん口を揃えて「他の企業も見てから決めたいです」と正直に話をしてくれます。学生から出るその言葉は本心であり、どこか共感する部分も大いにあります。同じ早期の活動期間であっても、「企業の早期採用活動」は早くから母集団を獲得し、他社に取られる前に内定承諾を得たいと考えているケースが多いと思います。一方、「学生の早期就職活動」はよりしっかりと企業を選ぶために、早くからさまざまな業界業種やいろいろな会社を知りたいと考えている傾向にあります。このように両者の早期活動の目的と熱意を傾ける方向の大きなズレが、思い通りに内定承諾まで至らない理由だと考えます。
だからこそ、同じ傾向が続くであろう2024年度採用については、早期で母集団を獲得する戦略に加えて、その後の「クロージング」までを見据えた採用ストーリーを描けているかがポイントになるでしょう。
その採用ストーリーを考える際に大事なことは「2(承諾):6(保留):2(辞退)の法則」を想定しておくことです。どの時期に採用活動をおこなったとしても、すぐに内定承諾する方もいれば、どれだけアプローチしても辞退する方もいます。そして母集団の中では、入社を決められず内定承諾を保留する学生が多数派であるケースがほとんどでしょう。
大事なのはその「6(保留)」の学生に対する内定承諾への働きかけをイレギュラーな対応とせず、予め採用フローに組み込んでおくことです。そういった学生がいる事を前提として「事前に」準備しておくことが大切なのです。
例えば
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◎入社意識を醸成するための選考や面接内容の見直し ◎学生の心理に寄り添った会話ができるリクルーターの育成 ◎入社の決意に導く、クロージングブックの制作 |
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などが、事前にできる準備として考えられるのではないでしょうか。
採用手法も多様化していますので、改めて学生の心理も組み込んだ採用戦略を練り、目的を果たすための採用施策を実施することが必要になってくるでしょう。