3月から新卒採用ナビサイトがグランドオープンとなりました。学生に説明会の予約を促す中で、そのような声を聞いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

コロナウイルスの影響で世の中が大きく変わり始めて約2年。企業、学校など、さまざまな組織が一斉にオンライン化を余儀なくされました。オンライン会議ツールが瞬く間に普及し、家から一歩も出なくても仕事や勉強ができる環境が、今や当たり前になりつつあります。今まで何の疑いもなく必要だと思っていたものが実は必要なかったり、オンラインだからこそできる新たな試みが登場したり。人間の順応力の高さを改めて感じています。

採用活動シーンでも、大きな変化がありました。

出典：ガリレオスコープ株式会社「まるごとDX」調査レポート（https://dxj.info/research/2107-job-hunting-2/）

ガリレオスコープ社の上記調査によると、2020年4月から2021年3月のコロナ禍真っただ中に就職活動をしていた若手社会人のうち、参加した説明会が「すべてオンライン」という人は28.1％で、「全て対面式」の23.3％を上回る結果となりました。そのほか、面接や内定式についても「すべてオンライン」という意見が約2割と、確実に採用市場にオンラインが浸透してきていることが分かります。特に説明会のような初期接点においては、「移動時間をかけずに多くの説明会に参加できる」、「いきなり対面で会わなくていいので気が楽」といった理由から、学生からもオンライン説明会のニーズが増えているのが現状です。

ただ一方で、採用活動をすべてオンラインで済ませる、ということには学生側にも不安があるようです。対面式を希望する声は、選考が進むにつれて増えていきます。やはり人生において大きな決断をするにあたって、直接会ったときの雰囲気や人柄というのは非常に重要な要因の一つと感じているようです。

2024年度採用に向けてインターンシップの準備を始める方もいらっしゃると思いますが、インターンシップの実施形式について、非常に興味深い調査結果があります。

出典：マイナビ 2023年卒大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査（7月）

対面式とオンライン、どちらのインターンシップを希望するかを聞いたところ、「ガイダンス」や「業界・企業・仕事内容の説明」といった講義形式の内容についてはオンライン、「実務経験」や「会社見学」という体感型の内容は対面希望と、はっきりと傾向が現れました。近年はPCやスマートフォンを持って社内をリアルタイムで見学する「オンライン見学」という形をとられる企業も増えてきていますが、やはり実際に足を運んで見てみたいという想いは根強いようです。

コロナウイルスによって、オンラインでさまざまな可能性が広がった一方、やはり対面でしか伝えられない・感じられないことがあるという実感を、誰もがお持ちだと思います。それは学生も同じ。オンラインを使いこなす新世代だからこそ、対面で得られるものに価値を感じています。

説明会が対面というだけでキャンセルする学生は、意欲が低いのか、それともその説明会には対面の価値を感じていないのか。Withコロナの採用市場で一人でも多くのターゲット学生と出会うためには、改めて採用全体のストーリー構成から逆算し、それぞれのシーンで伝える内容とその手法を精査することが鍵になりそうです。