「長く助走を取った方がより、遠くに飛べるって聞いた。
そのうちきっと大きな声で、笑える日が来るはず。」
“さあ、変わっていく自分を楽しもう”

女優の杏さんが弾き語りで歌う、通信教育会社のCM。年明けにテレビから聴こえてきた時、また新しい季節を迎えたんだな、と個人的にはとてもワクワクしました。

新年は何かを始めるにはとてもいいタイミングです。
学びの手段としては、通信講座・通学講座に加えてオンライン講座も仲間入りし、通信と通学両方の良い部分を取り入れた講座もあり、選択肢が増えました。新型コロナウイルスの流行という未曽有の状況の中で得た、メリットのひとつではないでしょうか。
大学生にとってもオンライン授業がスタンダードになり、大学側も予め授業内容を録画しておく「オンデマンド型授業」やリアルタイム配信による「同時双方向型授業」など工夫を凝らすことで、教育効果や満足度を高めているのだそうです。

さて、そんな時代に学生生活を送り、就職活動をおこなってきたこれからの新入社員に対して、どんな手段で何を学ばせ育成をしていくのか、オンラインがいいのか対面がいいのかなど、頭を悩ませる人事・教育担当の方も少なくないのではないでしょうか。

私は普段、営業所所長としてメンバーの育成に従事する傍ら、社員育成の研修に講師として登壇をしています。その中で感じることは、特に初期教育に関しては「対面」で研修を実施するメリットが大きいということです。

というのも対面研修の場合、研修の中身だけでなく、同じグループになったメンバーの考えや発言、周りから聞こえてくる情報や動き、講師とのやりとりなども学びや気づきの材料となるからです。実際に、最近私自身が受講者の立場として参加した対面研修でも、チームメンバーの熱量を感じることで気持ちが高まったり、雑談を通して気づきや学びが深まったりという経験をし、改めて顔を突き付けて学ぶことの大切さを感じました。

もちろん、オンラインでも十分なディスカッションは可能ですが、研修の枠を超えたコミュニケーションは取りづらいため、「他者から学ぶ」という点においては対面研修の方が得られる学びの総量が多くなると考えます。

一方で学ぶ素地ができた上でのオンライン活用は、「エリアに関係なく情報を得られる」というメリットを最大限生かすことができ、さらに成長を加速させるでしょう。

「三つ子の魂百まで」ということわざがあるように、社会人においても初期教育はその後を左右する重要なタイミングです。「社員の学びの場」をデザインすることは、新入社員の即戦力化や既存社員のボトムアップに直結します。

状況の変化が激しく、また、変化に対する予測が立てづらい世の中だからこそ、点ではなく、線で、面で、「社員の学びの場」をデザインできるかどうかで、大きな差が生まれる時代です。

オミクロン株が流行する中で、4月の新入社員研修を対面実施できるか危ぶまれる状況もありますが、「対面が難しいから、そのコンテンツをそのままオンラインで実施する」という発想ではなく、「社員の学びの場」をデザインする視点で、俯瞰して再設計してみてはいかがでしょうか？