4月に新入社員を迎え、この6月までに本配属を迎えた企業も多くあるのではないでしょうか。
今年も、さまざまな業種業界の新入社員研修に携わらせていただきました。
毎年関わっている企業では人材の気質や能力の変化を少しずつ感じたりもしますが、この春は、どこの会社へ伺っても大きな変化を感じました。
変化にもさまざまありますが、その中でも強く感じた3つをご紹介したいと思います。
採用レベルの向上
1つ目の変化として、どの企業も際立っていたのが「採用レベルの向上」です。
求める人物像は企業により異なるものの、頭の回転の速さ、論理的思考力、コミュニケーション力、積極性、顔つき等、いずれも例年よりレベルが上がっていると感じました。
コロナ禍でも強気に採用しようとした企業は、コロナ前の超売り手市場と比較してレベルの高い学生の採用に成功した印象があります。採用活動がオンラインになったことで、地方の国公立大学などの優秀層や、忙しい理系学生、移動による経済的負担を感じていた学生など、今まで接点をつくりにくかった人材に対して、距離や時間を超えてアプローチが可能になったことも起因しているのだと思います。
オンラインのコミュニケーションに非常に慣れている
2つ目の変化として、彼らは総じてオンラインのコミュニケーションに非常に慣れています。
今年の新入社員の環境を考えると、就活段階からほぼオンラインであり、研修の様子を見ていてもむしろオンラインの方が心を開くことができるように見えますし、気軽にチャットで質問もでき、自宅でリラックスして学習できるという肯定的な意見も多く聞かれました。リテラシーも高く、オンラインでのブレストもお手の物です。
隣に座っているかのような関わりができる受講者も多くいて、プレゼン資料づくりも時空を超えてグループみんなで協力して実施でき、オンラインの独特な間合いも気にせず発表することもできます。
キャリアに対する客観性
そして3つ目は、ここ数年の超売り手市場の人材と比較して、企業を見る冷静さと、その後のキャリアに対する客観性が見られます。
〝どうなるかわからない。先行き不透明な時代を生きる〟ということを前提とした就職活動を経て、自分自身のキャリアプランを冷静に考えることは自然であり、それをもって就職した新人が多いのは当然であるとも言えます。そのため、冷静なキャリアプランを持つ新人に対し、受け入れ側のキャリアの明示や関わりが十分でない場合には、市況が好転すれば一斉転職の恐れもあるのではないかという危機感を持ちました。
ジェネレーションギャップというものは、いつの時代にもあるものです。
世界レベルで生活や働き方を変化せざるを得なかったこの一年の変化は、今までのギャップとは比較にならないものがあります。想定外のコロナに翻弄されながらも、変化に対応しキャリアに向き合おうとする世代は、なかなか新しく面白い世代です。と、同時にその新人たちを導いていく側も大きく意識を変革する必要があると強く感じさせられる春でした。
社会人としての不安はあるものの、それよりも大きな期待を胸に元気よく職場に向かっていった新入社員たちが、健やかに成長し、活躍することを願ってやみません。