新型コロナウイルス対応の一環で弊社でもリモートワークを推奨しています。
このコラムも在宅で書いていますし、お客様との打ち合わせや、主催するセミナーもテレビ会議システムなどオンラインツールを使っておこなっています。

まだ慣れない部分がありつつも、移動時間の短縮などを考えると、メリットも大きいように感じています。コロナ禍を契機に、テクノロジーを活用した効率的なワークスタイルへと、「働き方の変化」が一気に加速するのではないでしょうか。

一方で、「価値観の変化」という大きな変化は既に起こっています。

「多様性の時代」「個の時代」など、いろいろな言葉で表現されていますが、社会に合わせて生きるのではなく、自分の在り方を大切にしていく人が増加しています。

給料や待遇を考えると今の会社がいいけど、ワクワクを求めて会社を辞めるなど、周りから見ると合理的でない意思決定をしているように見えるけれども、“本人にとっては正しい”という意思決定が増えているのです。

ビジネスにおいてもこういった変化に対する在り方が求められるようになってきました。

商品・サービスの購入の際、機能性やコストで比較されるのではなく、例えば、その企業がSDGsに積極的に取り組んでいるのかなど、企業としての在り方が、ユーザーの意思決定の新しい指標として力を持ってきています。

「よりお得」「より機能的」という合理性だけでなく、共感できるかどうか、心が動くかどうかを判断軸として重視する。
そんな大きな変化が起きています。そして、その変化は、加速度的に広がっていっているように感じます。

組織マネジメントにおいてもこの変化を踏まえて、一人ひとりの感情に目を向け、共感でつながっていくことが重要です。

しかしながら、「共感するポイント」「感情が動くポイント」は一人ひとり異なります。
また、それらが率直にアウトプットとして出てきて、互いに共有し合えるといいのですが、組織においては「評価」「人間関係」「場の空気」などが作用して本心が出せない。そればかりか、小さな不満が積み重なり、ある日突然の離職となってあらわれるということが往々にしてあります。

では、どうすれば組織の中で個人が本心を出せるようになるのでしょうか。

意外に思われるかもしれませんが鍵になるのは、日常の挨拶、お礼、雑談、ちょっとしたことへの称賛などの業務や成果とは直接的には関係がないと思われるコミュニケーションです。

これらは、効率化の名のもとに、企業活動の中で切り捨てられがちなコミュニケーションでもあります。

これらが日常の中で活発に行われることが心理的安全性の醸成につながり、本音のコミュニケーションの活性化と、「この人たちと一緒に働きたい」という共感を生むことが、科学的にも証明されているのです。

企業活動は効率性の追求に偏りがちですが、ことコミュニケーションに関しては一見無駄と思えることを改めて大切にして時間をかけ、楽しんでみてはいかがでしょうか。

そのことが損得ではなく、共感でつながる組織に変化していく最初の一歩になります。

幸い、いまはオンラインツールが発達して、より手軽で便利に、物理的距離を感じさせないコミュニケーションが可能になっています。対面のコミュニケーションに加えて、新しいテクノロジーもうまく取り入れていくことが、今の時代に則した社内コミュニケーション活性化策だと思います。

対外接触に制限がかかる今だからこそ、自社に目を向け、コミュニケーションというテーマについて考えてみませんか。
4月は新しいスタートを切るにはいい節目の月です。