2020/1/22 vol.206
KAKEHASHI SKY NEWSは、第二・第四水曜日配信 「人と組織の成長を加速する」カケハシ スカイソリューションズのメールマガジンです。 ★今回のTOPICS★ ■コラム「優秀人材のリテンション(定着)に欠かせないコミュニケーションの強化」(青山学院大学経営学部 山本寛教授) ■おすすめセミナー「中途採用成功&離職防止セミナー」
“優秀人材のリテンション(定着)に欠かせない コミュニケーションの強化”
青山学院大学経営学部 山本寛教授
リテンションの重要性とコミュニケーション 構造的な少子高齢化による人手不足がますます進行してきました。その背景には深刻な採用難があり、中堅・中小企業においては特に厳しい状況になっています。採用が困難なら、在籍している社員に長く勤続し働き続けてもらうというリテンション(定着)が重要になります。しかし、リテンションにも大きな壁があります。それが転職の増加です。転職者数は300万人を突破し、右肩上がりで増加しています。わが国は本格的な転職社会に突入したといって良いでしょう。そこで、苦労して採用した人材、特に優秀人材が長く勤め能力を発揮してもらうための施策を考えていきたいと思います。 本稿では、コミュニケーションの強化から考えます。実際、メール等の普及で多くの職場で対面のコミュニケーションが希薄になっているという声が聞かれます。そこで、コミュニケーションの強化をヨコ、タテ、ナナメの3つの方向から触れたいと思います。 ヨコのコミュニケーションの強化 企業が意識的に社員同士のネットワークの構築や、それを通した「同期(同僚)意識」形成を促すことです。特に、若手社員にとって重要です。ただし、LINEでつながればすぐ強化できるといった簡単なものでもありません。例えばある企業では、入社式後1年間毎月本社での集合研修を地道に実施したそうです。その結果、退職率が大きく低下しました。 さて、多くの新入社員が初任配属先で先輩社員とのコミュニケーションに苦労するといわれています。その背景には、人手不足により同期や年齢の近い社員が少ない職場が増えていることもあるでしょう。そうしたつまずきが早期退職の火種にならないよう留意する必要があります。実際、同期意識形成がうまくいっている企業の若手社員からは、「それぞれ頑張っている同期に負けたくないし、簡単に辞めたくない」という声が聞かれました。 その他、同期入社等に限らなければ、組織のミッションやバリューを反映した行動を職場の社員どうしでほめ合う「サンクスカード」や、社員同士が日々の仕事における行動や結果を評価し、お互いに報酬を贈り合う「ピアボーナス」等も有効です。これらは、高業績につながる企業と個人の強い結びつきを意味するエンゲージメントを高めることを通してリテンションにつながると考えられます。 ただし、ヨコだけが強いと、会社への不満が広がり、一緒にズルズル辞めてしまう連鎖退職がみられやすいことも事実です。そこで、以下のタテとナナメも必要になります。 タテのコミュニーションの強化 経営トップや上司が何を考えているかをわかりやすく伝えることです。特に優秀人材は、上昇志向が強いことも多く、企業が何を志向し、そのことに自分がどの程度関われるか等、経営トップの方針を知りたがるでしょう。そこで、トップが社内に向けて今後の方針を常に発信し続けることが重要です。また、管理職がその方針を若手が自分の仕事にあてはめられるよう、わかりやすく「翻訳」することも必要です。すなわち、部下への説明能力の高い管理職の選抜や能力向上のための研修も必要でしょう。また、1on1ミーティング等の上司と部下の定期面談制度がある場合、部下とのコミュニケーションを円滑に行うための上司への研修も求められます。 その他、職場懇談会があります。これは、休日等にトップを含む社員が集まり、社員が会社や仕事等に対する要望や不満を対話によって会社側に反映させるものです。ただし、言いたいことは言い合いますが、何も改善されずガス抜きに過ぎないとわかれば、特に優秀人材のリテンションにはつながりません。意見を一部でも実際に活かしていく、または活かしていくためのプロセスを示すことが懇談会後に必要となります。 ナナメのコミュニケーションの強化 最後が、別の部署や他社の管理職等とのコミュニケーションです。一つの会社や部署にある程度の期間勤めていると、部署内や社内で人間関係、マネジメントや仕事のやり方等についての率直な意見や不満を言いにくいことが生じます。特に、仕事の質の高さを求める優秀人材の場合、その傾向が強いといえます。そうした場合、別の部署や他社の人は比較的利害関係が少ないため不満を漏らしやすく、さらに別の視点での考え方を知ることもできます。 そのための制度には、社内勉強会、異業種交流会や社会人が通いやすい夜間大学院等があり、企業が助成することが可能です。また、直接人を介在させなくても、他部署でこんな取り組みをしているという情報を社内報で伝えること等も有効と考えられます。 人が辞める原因は、多くの場合一つではないといわれています。筆者の聞き取りでも、「仕事は忙しく給料は高くないが、ざっくばらんに話せる人が何人もいる」等、人間関係がリテンションにつながった例をいくつも経験してきました。コミュニケーションは人間関係に関わるという点でリテンションに直結します。様々な方向から強化する必要があるといえるでしょう。
Profile 青山学院大学 経営学部・大学院経営学研究科 山本寛(やまもとひろし)教授 2003年より青山学院大学経営学部教授として人的資源管理論やキャリアデザイン論について教鞭を執る。 キャリア研究の第一人者であり、「勤労者のキャリアおよびキャリア意識」「組織のリテンション・マネジメント(優秀な人材の確保)」を研究し日本経営協会・経営科学文献賞(01年)、日本労務学会賞・学術賞(02年)、経営行動科学学会・優秀事例賞(04年・共同受賞)などを受賞。 著作には『人材定着のマネジメント』(中央経済社)、『昇進の研究[増補改訂版]』(創成社)、『働く人のキャリアの停滞』(編著:創成社)、『「中だるみ社員」の罠』(日本経済新聞出版社)など。近著に『連鎖退職』(日本経済新聞出版社)がある。 」
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