2018/06/27 vol.168
BUSINESS COLUMN
“ ATD人材開発国際会議2018に参加してまいりました。 ”
人材開発国際会議(ATD-ICE)をご存知でしょうか?
人材開発に携わる方々なら、一度は聞いたことがあるかもしれません。
ATD(Association for TalentDevelopment)は、人材開発を目的とする団体で「職場における学習とパフォーマンスの向上」を支援することをミッションとして活動しています。その団体が毎年5月に開催している国際会議がATD-ICE(International Conference and Exposition)です。
今年はカリフォルニア州サンディエゴで開催されました。
参加者は、企業の人材開発担当者、L&Dコンサルタント、教育機関、行政機関リーダー、 最近ではHRテクノロジー開発者等で、創立75周年を迎えた今年の基調講演は、第44代大統領バラク・ オバマ氏が登壇することで話題にもなり、93か国13000名に上る人たちが参加しました。
オバマ氏の講演の様子はこちら
展示会では400以上の人材開発・ HRテクノロジーのベンダーによる商品・サービスが紹介され、カンファレンス参加者は、リーダーシップ開発、キャリア開発、ラーニングテクノロジーなど、14のカテゴリーに分かれた300以上のセッションに参加します。
開催期間の4日間、興味のあるセッションを自由に選択し、最新の発表を聞き、学び、思考し、参加者同士議論します。
会議の根底を貫くメッセージの一つに、「デジタル・ トランスフォーメーションとヒューマニティの融合(共存)」がありました。
(※デジタル・トランスフォーメーション=ITの浸透が生活をより良い方向に変化させること)
そのメッセージとは、
“AIに多くの職業が取って代わられることに恐怖を抱くのではなく 、自分たちの仕事を改めて考え、デジタルやデータについて学び、能力開発や育成のあり方を進化させ、AIと共に成長していくことが大切であり、だからこそ、人としての在り方や、人だからこそ生み出せる価値を大切にしていく必要がある。“
といったものです。
そして、多くのセッションがある中で、最も実践的で印象に残ったのが、「ミレニアル世代の学び方について」でした。
そのセッションは、「ミレニアル世代の学習者が求めるものは何か。」という問いとともに、学習者自体の変化に、私たちは気が付かなければならないということを提言しています。
今の若者はリアルタイムでテレビを見ず、マイチャンネルを作ったり、録画してCMを飛ばして見たりする世代であり、今知りたい情報を自分で検索して学習したいという欲求を持っています。
にも関わらず、会社のLMS(Leaning Management System)では長時間の学習動画が採用されています。
個人所有のテクノロジーは大きく変化し、ダウンサイジング化されており、今の若者は個人のスマホで気軽に情報を獲り、学習することを求めています。
効果的なLMSについては脳科学の検証でも証明されているように、20分以上の学習は難しく、1~5分で学べる「 マイクロラーニング」が注目されています。
最近SNS等でよく見る、1分程度の英会話レッスンの動画をイメージするとわかりやすいかもしれません。
短い時間の学習を頻度高くおこなうことで、学習効率が上がり、知識の定着や成果に結びつくと言われています。
日本では、新入社員研修後、次にまとまって集まる研修は2、3年後であったり、 5年後の昇格者研修まで集まらないなど、研修の頻度が低い企業様が多く見受けられます。
しかし例えば、2~3時間の研修を1~3か月に1度と、頻度高く実施し、その復習をマイクロラーニングで補填しながら、それぞれの職場でアクションを実践する。そして、 研修でアクションを約束した仲間同士がオンラインミーティングで距離・場所を選ばずに集まり、振り返りのワークショップをおこなう。
このように、オンライン(オンラインミーティングや、マイクロラーニング)を活用することで、オフライン(研修) の効果を上げて、戦力化を加速させることができます。
もちろん、このほかにも、興味深いセッションが数多くあり、最新の潮流を感じながら、企業の研修は過渡期に来ているのではないかと改めて考えさせられました。
生産効率を追い求めながら、ミレニアル世代に合わせた次なる育成の“具体的手法”を模索・実践する必要があると感じる4日間となりました。
皆様の企業内育成は、今後どのように進化を遂げていくのでしょうか?
企業内学習の本質がさらに問われていくのかもしれません。
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KAKEHASHI Q&A
“OJT研修の効果を上げるには、どのような対応が必要?“
Q21. 東京都 / サービス業 / 従業員数123名 / 営業職採用
OJT(オンザジョブトレーニング)研修は、先輩社員のサポートを受けながら実際の業務を学ぶことができる、新人教育に最適な手法です。OJT研修の効果を上げるには、新入社員の日々のモチベーション管理が欠かせません。入社後しばらくは緊張もあり、毎日のちょっとした変化にも敏感に反応するものです。お客様や先輩からの一言に一喜一憂するなどの新人の状況変化に気づくよう、OJTトレーナーがしっかりと意識することが、円滑なモチベーション管理のポイントです。
しかしOJTトレーナーも、新入社員だけに付きっ切りというのは難しいですよね。そのため、周囲の社員の協力体制を作ることが大切です。OJTトレーナーを新人教育チームの推進者と位置づけ、例えば席の近い社員が積極的に会話に参加させたり、近しい先輩たちが新人の小さな困りごとを解決する機会を増やし、仲間として受け入れる。そう新人が感じられる環境を整備することで、OJTトレーナーが新人の変化に気が付きやすくなり、OJT研修の効果も高まるでしょう。
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