2018/03/28 vol.162
BUSINESS COLUMN
“ 隗(かい)より始めよ ”
on-boarding(オン・ボーディング)という言葉をご存知でしょうか。
HR先進国のアメリカでは既に一般化している概念で、昨年ラスベガスで20回目の開催を迎えたHR Technology Conference & Expositionでも、ひと際多くの企業が出展ブースを構えていました。
on-boardとは、直訳すると「飛行機や船に乗っている状態」。on-boardingとは、会社という乗り物に新しく迎え入れた新入社員を、いち早く組織の文化やルールになじませ、早期戦力化させるための継続的な取り組みを指します。数年おきに転職を繰り返してキャリアアップを図る就労観が一般的なアメリカですが、入社後半年以内の離職者数や、新人の2人に1人は組織の期待に応えることができないという実態が問題視されるようになり、大手企業を中心にon-boardingの導入が進んでいます。
一方で、長期雇用が一般的だった日本でも近ごろは様相が変わってきています。労働人口の減少を背景に、企業の人材獲得競争が激化。また、新しい働き方を推奨する人たちが台頭し、政策からも、求人媒体各社のメッセージからも、雇用の流動性を高めようとするパワーが強く働いていることを感じます。人を採用することも人を定着させることも難しくなり、企業が人を選ぶ時代から、人が企業を選ぶ時代へと大きなルール変更が起きています。
この大きな転換期に際して、私たちも意識変革が必要です。私自身、自社にどんな貢献をしてくれるのかという視点で求職者を判断したり、入社後のミスマッチは企業に適合できなかった側に問題の原因を置いたりしてしまっていました。言うなれば、相手に求める思考回路になってしまいがちでした。しかし、人が企業を選ぶ時代となった今、働きがいや働きやすさを企業側がまず提供するという発想が、採用と定着の両面において重要なポイントになったのです。
多くの場合、「人が十分にいて、長時間労働が当たり前」という前提のもと、企業側の都合で、ビジネスモデルや組織構造などの様々な仕組みは作られ、仕事の進め方や社内コミュニケーションなどの組織風土も作られています。しかし、ルールが変更した今、企業はこの前提を捉え直し、求職者や社員に選ばれる存在へと変容していくことが求められています。
さて、間もなく4月です。新入社員の入社にあたり、新入社員の育成に目が向きがちですが、本当に必要で大切なのは、新入社員を受け入れる側の既存社員が意識を変え、仕事の場面、採用の場面、育成の場面での判断・行動を変えていけるかどうかです。
当社でも、「働き方改革プロジェクト」「社内研修プロジェクト」を立ち上げ、自社の変革を推し進めています。採用難の時代だからこそ、小手先のテクニック論ではなく、これからの会社のあり方について一緒に考えていきませんか?
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KAKEHASHI Q&A
“ 新入社員の受入れにあたって、
先輩社員が意識した方がいいことは?”
Q16. 東京都 / PR会社/ 従業員数80名 / 営業職採用
新入社員の入社は嬉しいものの、その育成となると、日々の忙しい業務の中でどうしても自分ごととしては考えにくいものです。そんな先輩社員の育成意識の醸成には、興味関心を持つことが大切。まずはきっかけとなる先輩社員と新入社員の接触機会を作りましょう。入社式や歓迎会といったイベントへの参加は必須です。
できれば次年度からは、採用活動から後輩となる学生に触れる機会を設けましょう。選考時に会った学生には「自分が採用したんだ」という意識から自然と愛着が沸き、興味を持つものです。また、説明会で自社商品について話したり、選考で仕事のやりがいを話したりすることで、自社にどんな強みや良さを感じているのかを再認識するという副次的効果も見込めます。
まずは、次週入社する新入社員との接点としてイベントを設ける。さらに来年入社する後輩を一緒に採用することで、後輩に対して興味関心を常に持つ環境を作っていきましょう。
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