2018/01/24 vol.158
BUSINESS COLUMN
“ 売り手市場において成果を出す採用担当者の共通点とは? ”
「もし8時間、木を切る時間を与えられたら、そのうち6時間を、私は斧を研ぐのに使うだろう。」
アメリカ第16代大統領エイブラハム・リンカーンの言葉で、事を成し遂げるには、戦略・人材・資金など、周到な準備をすることが大切だと伝えている言葉です。
採用活動においても同じことが言えます。戦略を立て、予算を調整し、優秀な社員を巻き込む準備を整えた上でプロジェクトを遂行する。これに尽きるのではないでしょうか。
採用担当者の仕事はシンプルに言うと「自社で活躍するであろう優秀な人材を、数・質ともに確保する」ことです。前哨戦であるインターンシップ期間を経て本選考に臨む前に、改めて「売り手市場において成果を出す採用担当者の共通点」について考えてみたいと思います。
過去20年を振り返ってみると、紙媒体からWEB媒体へ変化。団塊ジュニアからデジタルネイティブであるミレニアル世代へと就活生の価値観が変化。そしてSNSやインターンシップの登場・普及。さらには、景気の良し悪しも影響して採用環境は大きく変化しているため、採用担当者に求められる資質や能力、成果へのアプローチも変化しています。
弊社でもREALWORKと称して、実在するクライアントに対して採用企画を一緒に考え、提案書と見積書を作り、プレゼンテーションする…という、2019年卒の学生を対象としたインターンシップを実施しました。私もインターンシップ生を受け持つことになったのですが、採用や教育研修を本業としながらも、学生の価値観を目の当たりにして改めて発見したことがありました。
昨今の学生は業種業界問わず、自分が輝けるいい会社を求めています。そのいい会社を探っていくと、同僚・上司・会社の雰囲気・自分たちへの期待・チャンス・社会貢献性・成長実感・待遇・将来性・働きやすさ・家族の理解・自分の納得など、多様な価値観が絡み合っていて、何が決め手なのかつかみづらい印象があります。
売り手市場で一番苦労するのは、決めきれない学生に自社への入社を決断させることです。押しどころが曖昧で、主導権を持つ学生を口説くのはなかなか至難の業です。
買い手市場の採用活動は、相対的に学生への採用情報が少なく企業側に主導権があります。予算を削減する企業も多いため、積極的に広報すればメッセージもしっかり届き、おのずとターゲット学生が集まりやすくなります。採用担当者としては、「私たちはこんな会社です」と自社のメッセージを力強くプレゼンできる「営業マンタイプ」が適しています。
ところが、売り手市場の現在においてはどこも企業成長をアピールする上、圧倒的に情報量が多いため、気を抜くとすぐに埋没してしまいます。企業が興味を持つ学生は、基本的に就職先には困らない人材です。そのような中で学生を口説き自社に入社を決意させるためには、採用担当者としていくつもの価値観を捉えられるアンテナと受容力を持つことが重要になります。
個々の志向や価値観にあわせて採用フローを柔軟に変更したり、学生と口説ける社員の接点を臨機応変に作ったり、自社を選ぶ理由を一緒に思考し、採用活動を通して学生を成長させることができる「コーチタイプ」が適任となります。
人は、結局は自分で決断をします。売り手市場で成果を出す採用担当者は、説得やプレゼンにより納得させる「営業マンタイプ」ではなく、良質な問いかけにより学生の思考を深め、自社を選ぶ理由を学生自身の言葉で紡いでいくことにより内面を整理し、気づかせ、決心の理由付けをしていくプロセスをサポートしていく、コーチングが必要なのです。
さて、いよいよ本選考がはじまります。採用担当者として、学生の決断のプロセスにどれだけ深く関わることができるでしょうか?そこで構築された信頼関係も、重要な決断要素の一つになるのだと思います。
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KAKEHASHI Q&A
“中小企業もサマーインターンシップを
実施したほうがいいでしょうか?”
Q12. 千葉県 / 住宅 / 従業員数118名 / 営業職採用
サマーインターンシップの実施は、中小企業にもおすすめです。「やったほうがいいとは思うけど企画や運営が大変そうでなかなか踏み出せない…」という方もきっと多いでしょう。だからこそ、いま取り組めば競合が少ない中で多くの学生と接点をもつことができるのです。1月上旬におこなわれた秋冬インターンシップフェアでは1社あたり平均80名近くの着席が記録されましたが、サマーインターンシップフェアではおそらくこの1.5~2倍程度の集客を見込めるのではないかと予想しています。
「そんなに多くのエントリー者を確保できても対応しきれない」という場合は、インターンシップ参加学生をセレクションしましょう。少人数に絞って受け入れることで、企画運営の負担を軽減できます。また、受け入れきれなかった学生は秋冬インターンシップの参加予備軍としてフォローしてください。
このように夏からインターンシップにしっかりと取り組めれば、もしかすると3月以降の採用活動は必要なくなるかもしれません。6~7月のインターンシップフェア申込締切は今月末~2月に迫っています。ぜひ、お早めにご検討ください。
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