2017/12/13 vol.155
BUSINESS COLUMN
“ 世界で採用効果が立証された「ワークサンプル」”
少子高齢化、それに伴った労働人口の減少によって、これからますます採用難の時代が訪れます。
この時代だからこそ、採用活動を、頭数を揃える為の活動としてだけではなく、企業発展の為と位置づけ、採用した人材の活躍→定着という長期的な視点で活動する必要があると考えています。
もちろん、離職前提で採用するケースは多くはないでしょう。しかし、選考ではとてもよく見えた人材が実際に働いてみると期待を下回ったり、早い段階で成果は上げるが成長が頭打ちになり、離職してしまうケースは、多くの企業が陥る落とし穴です。
では、自社で活躍し、定着する人材の採用確率を高めるにどうすればよいか。表面的なコミュニケーション能力に囚われず、育つ可能性が高い人材とそうでない人材を見極める手段は何か。
まず、育つ人材とそうではない人材の違いは、資質、スキルではなくスタンスだと私は考えています。当社ではスタンスを「仕事に向き合う姿勢、物事と向き合う心構え」と定義しており、更に私が社会人にとって最も大切だと考えているスタンスは、「成果にこだわれるか否か」です。
成果のために、自分と異なる価値観、意見に耳を傾けることが出来るか否か。自分を大きく見せる努力ではなく、成果のために自分を大きくする努力が出来るか否か。会社、上司のせいと誰かのせいにするのではなく、成果のために自身を省みることが出来るか否か。どんな状況でも諦めず、成果のためにふんばることが出来るか否か。
全てのスキルの土台になる社会人としてのスタンス。もちろん、入社後の教育は可能です。それを前提としつつも、入社前にスタンスの質を見極めることが出来れば、入社→活躍→定着の高いレベルでの実現に繋がると考えています。
では、採用活動の中で、スタンスをどう見極めていくのか。
お勧めしたいのが、ワークサンプルという考え方です。
日本ではあまりなじみがありませんが、Google社なども活用するインターンシップで、世界の採用研究では、入社後にその人材がどれくらい活躍できるかを予測するもっとも有効な手法だと確認されています。
1dayインターンといった短期的なものではなく、実際に入社後実施する仕事をさせて、人となり、仕事への向き合い方を推し量るのです。
当社では2019年度採用のインターンシップで、REALWORKと称して実際の仕事を体験し、クライアントへのヒアリング、企画立案、提案をする試みをしています。学生の様子を見ていると、難題を目の前にして途中で逃げ出してしまう人もいれば、1分1秒を惜しんで成果を追求しようとするなど、様々です。
そこで私自身が面白いと思ったのが、インターン前の面接での評価と、インターン後の評価が逆転しているケースがあること。
対人能力、コミュニケーション能力の奥に隠れた、その人材の仕事への向き合い方、スタンスを、ワークサンプルを実施することで発見できたのです。
受け入れ難易度、体制構築は容易ではないかもしれませんが、人数を絞ることで、当社のような中小企業でも実施することが可能です。また、採用人数が多くなく、一人当たりのインパクトがある中小企業こそ、高い精度のマッチングが求められるため、より有効だと感じています。
2019年度採用、2020年採用とさらに採用難易度が高まることが予測されている中で、1人でも多く自社にマッチした人材を採用する為に、ワークサンプルの導入は、検討の余地があると私は考えています。
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KAKEHASHI Q&A
“4月新入社員受け入れに向けて、なにから準備したらいい? ”
Q9. 千葉県 / 住宅メーカー / 従業員数42名 / 施工管理職採用
「新入社員をどう育てていきたいか」は、個々人がそれぞれの考えをもっていたとしても、会社としては意外とまとまっていないもの。そこで受け入れ準備として私がオススメしたいのは、「会社の育成方針を明文化する」ことです。
ちょうど2年前、数年ぶりに新入社員を迎え入れることになったメーカーさんの育成ハンドブック(=育成方針をまとめた冊子)作成に携わりました。経営陣やマネジャーで話し合いながら「新入社員に求めるスタンス」「先輩社員の約束」などを言語化していくのですが、実は初回のディスカッションでは3時間かけてもあまり意見が出てきませんでした。しかし2回、3回と数を重ねるうちに、少しずつ議論が活発に。「こんな風に育てていきたいから、自分たちもまだまだ成長しないといけないよね」と、大きな気持ちの変化が起きているのを肌で感じ、育成方針を明文化する重要性を再認識しました。
弊社にも育成ハンドブックがあるのですが、私自身もたびたび見返しています。4月に向けて、今からでも間に合いますので、ぜひ取り組んでみてくださいね。
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